手術以外にできる3つのこと、途方に暮れる前に探すべき方法とは。
下記を中心にご説明いたします。
■化学療法
■放射線治療
■免疫療法
がんと告げられることでさえ衝撃的なことです。
がんの告知を受けたとき、大きな衝撃を受け、動揺するのは当然のことです。
更に追い討ちをかけるように「そのがんは手術できない」と言われたとき、手術以外にどのような方法があるのでしょうか。
目次
手術できるケース
がんが見つかったら手術をして取り除きたいと思う方は多いかもしれません。
だからと言って、必ずしも手術ができるとは限りません。
1.外科治療が最も効果のある治療法である
2.外科手術のもつ危険性があったとしても、その効果が上回ると判断された場合
3.患者の生命予後(生命が維持できるかどうかの予測)が改善する可能性が高い場合
上記3つの条件が満たされる場合は手術を行いますが、そうでない場合手術不能なケースとなります。
手術不能なケース
手術不能なケースは下記の5つのケースに該当する場合で、いずれも手術をしても大きなデメリットや放射線治療、化学療法のメリットの方が勝るケースです。
1.がんが広範囲に広がり過ぎている
2.患者の身体が手術に耐えられない
3.末期がん
4.進行がん
5.再発の場合
5つのケースについて詳しく説明をしていきます。
1.がんが広範囲に広がり過ぎている
この場合1ヶ所だけを手術しても意味がありませんし、肉体的な負担を伴う手術を複数ヶ所何度もすることはできません。
2.患者の身体が手術に耐えられない
高齢の患者や子供の患者、他に持病のある方には身体的な負担がかなりかかってくるので手術は難しいとされています。
3.末期がん
末期がんの場合、手術しても手遅れな状態であるため手術は行いません。
4.進行がん
一般にⅢ期の一部からⅣ期に相当する進行がんは、移転が認められるため、手術できない場合が多い。手術出来ないと診断されます。
5.再発の場合ですでにその臓器を一度手術している
一度手術しても治らなかった場合、二度手術しても効果はないと判断されます。
がん別:手術不能なケース
がんの治療法にはどんな選択肢がある?
手術の他に化学療法と放射線治療ががんの3大療法と呼ばれています。
それぞれのメリットとデメリットについて説明します。
化学療法
主に、化学療法によってがん細胞を死滅させたり、増殖を抑えたりする治療方法です。
化学療法の投与方法は、点滴や注射、内服です。
【メリット】
・血液を通して全身をめぐるため、ごく小さな転移にも効果がある
・最近は、がん細胞だけに作用する分子標的治療薬の開発が進み、実用化されているものが増えている
・乳がんや子宮がんのホルモン療法の場合、特定のホルモンの分泌や作用を抑制することで、がん細胞の活動を抑えて腫瘍を小さくしたり、転移や再発を抑えたりできる。
・薬剤感受性試験により事前に自分にどの化学療法が合うかを知ることができる
・通院治療が可能なため働きながら治療ができる
【デメリット】
・がん細胞以外の健康な細胞にも悪影響を与えるため、さまざまな副作用、脱毛、吐き気、倦怠感などの副作用があらわれる可能性がある
・がんの種類によっては化学療法の効果があらわれにくい
・免疫力を下げるので副作用に耐えられない体になっていく可能性がある
・耐性を持つようになり効かなくなった場合は更に強い化学療法を服用しなければいけない
・二次発がん(化学療法の影響で正常な細胞が遺伝子変異を起こし、がん細胞に変質してしまう)のリスクがある
化学療法に限界があることも正しく理解しなければいけません。
ほとんどの固形がんは次第に化学療法への耐性ができる。
特に進行再発がんについては完治が厳しいのが現状です。
放射線治療
がんの病巣部に放射線を照射して、がん細胞を死滅させる局所療法です。
化学療法(化学療法治療)や手術などのほかの治療と併用して行われることもあります。
【メリット】
・手術によって切除することなくがんに対して治療効果を期待できることで、臓器をそのまま残すことができる
・がんの大きさや位置を正確に測り、その部分だけに集中的に照射することが可能
・複雑な形のがん病巣や、手術のできない場所にできてしまったがん病巣を治療することも可能
【デメリット】
・放射線の影響により、照射部分の炎症などの放射線障害があらわれる
・めまいなどの全身症状があらわれることもある
・密封小線源治療、放射性同位元素内用療法では、一部、行動の制限が必要
・放射線治療医が慢性的に不足しており、受けたい時に受けられない場合がある
免疫療法という手段
上記2つの方法以外に免疫療法という手段をご紹介します。
免疫療法とは
多くのがん患者が使用する化学療法は、免疫細胞の元となる骨髄細胞を傷つけてしまうため、免疫システムにもダメージを与えてしまいます。
化学療法でがんにダメージを与えたとしても、免疫優位の力関係を築くことはできないのです。
こうしてがんと免疫の力関係が逆転してしまうと、がん優位に加速がつき免疫優位への挽回は難しくなります。
このようながんと免疫の力関係に着目し、患者の免疫細胞を一度体外へ取り出し活性化させ、がんへの攻撃力を増したうえで再び患者の体内へ戻し、患者自身が本来持っているはずの免疫力でがんを攻撃しようというのが、免疫療法です。
免疫は人間が本来持っている防御システムなので、免疫療法は患者にとって負担の少ない治療法です。
採取した血液から培養して増殖させた免疫細胞を、点滴などで投与するので、痛みや副作用もほとんどありません。
投与された免疫細胞は全身で効果を発揮します。どこに存在しているかもわからないマイクロ転移や、手術での取り残しなどの小さながんを攻撃してくれるため、再発を防ぐことにも効果的です。
【メリット】
・副作用がほとんど見られない
・手術、化学療法、放射線治療の3大療法は免疫を下げるが、免疫が上がる効果がある
・3大療法と併用することによる、体力維持しながらのがんの排除(化学療法、放射線治療による副作用の軽減)
・標準治療後の再発予防
・QOL(生活の質:食欲増加、痛みの緩和、倦怠感の症状改善、体重増加など)の向上
・遺伝や生活習慣によるがん予防
・がん5年生存率の向上
・再発の予防
また、冒頭部で挙げた手術できない場合にも期待のできる方法です。
・手術ができない再発の場合、細胞を傷つけずに治療ができる
・末期がん、進行がんに対する延命効果
【デメリット】
・保険外診療となるため費用は全額自己負担になる
・免疫療法でのがんの根治は難しいと考えられているが、補助的な面での効果がある
・患者によって効果に差がある
身体的に大きな負担がかかるがんの手術や化学療法などによる副作用と闘う患者にとって、免疫力を高めることは治療を受ける上でとても重要です。
手術ができないからと言って残されている治療法がないわけではありません。
特に免疫療法はどんな状況にも対応しうることから、患者によっては、最後に残された希望を持てる療法ではないでしょうか。
免疫療法はがん保険に含まれていないが近年保険の制度も変化が期待されています。
がんと宣告されたら掛金によって伸びるものがあり、ワクチンに充てることも可能という動きも出ているそうです。
患者やご家族が、標準治療が使えなくなって治療の選択に困り、自由診療でのがん免疫療法を選択肢として考えるときには、まず医療に熟知した医師にセカンドオピニオンを求めることをお勧めします。
また、がん患者にとって手術を終えて安心できても再発の不安を抱く方も多いでしょう。
そんな患者にとって免疫を上げ再発しにくい体にしてくれる、再発予防としての免疫療法はとても心強い存在なのではないでしょうか。
まとめ
それぞれのがんの治療法の特徴と、長所・短所がお分かりいただけたでしょうか。
がんで手術ができないと言われて精神的に追い詰められるかもしれませんが、医師のセカンドオピニオンを利用したり、がん患者の会等がん情報センターなどを利用して幅広く情報収集をしていくことが大切です。
もちろん、がんの予防、再発防止やがんの進行を遅くするためにはまず健康な毎日を過ごすことが条件になります。
食生活、睡眠時間、ストレスを再度徹底的に見直すことが土台となるでしょう。
また、補完代替療法として健康食品やサプリメント、鍼灸、マッサージ療法、運動療法、心理療法と心身療法に専心する患者もいますが、このような補完代替療法はがんの本質にアプローチするメインの治療ではありません。あくまでも補完的なものと考えましょう。
自分の体と対話をし、治療にどれだけお金をかけられるかを考え、医師や専門家、がんの専門機関に話を聞き、賢く幅広く情報収集をしましょう。
自分が無理せず続けられて効果が感じられる治療法を見つけていってほしいと思います。

医療ライター。
医薬系会社にて医療事務に従事する傍らで、美容系サイトにて痩身美容(脂肪吸引など)ついて執筆するフリーライター。
主に得意分野は、がんや免疫療法、経営者インタビュー記事作成など。