大腸ポリープが大きくなるとがんになるの?

大腸ポリープには良性のものと悪性のものがあります。健康診断でポリープや腫瘍が見つかると、がんではないかと心配になるかもしれません。大腸ポリープの8割は腺腫で、特に直腸、S状結腸によくできます。大腸がんとの関連で最も注意が必要なのがこの腺腫です。これはがんと同じように、腺腫は粘膜上皮を形成する腺細胞が異常をきたして増殖したものでで、大きな腺腫はがんになる一歩手前の状態と言われています。実際、大腸がんの多くは腺腫から発生すると考えられています。

 

この腺種に分類されたポリープは小さければ経過観察がされますががん化しないように早めの処置が必要になってきます。ここでは大腸ポリープの、特にがん化しやすく注意が必要な腺種についてご紹介します。

 

目次

大腸ポリープについて

大腸ポリープが良性の場合

ポリープは、細胞が異常に増殖してその臓器からに突起物ができます。大腸や胃、管状のような中身がない臓器に発生します。反対に肝臓や、すい臓のような中身のある臓器にはできないと言われています。良性のポリープは種類としては、声帯や喉、大腸や胃などの消化器系、子宮頸管や子宮内膜といった女性特有のものがあります。ポリープは小さい状態のうちは特に問題にならないのですが、大きくなってポリープがねじれたり炎症を起こすと、出血や痛みの症状が出てきます。一般的にはポリープは成長が止まれば心配はないといわれています。

 

悪性の場合

大腸ポリープはある程度以上の大きさになると、がんの可能性が高くなります。この、がん化する可能性があるのが腺種です。ポリープがあると言われたときに抱かれる不安もここにあります。日本では大腸がんの死亡者は増加傾向にあり、2015年には肺がんや胃がんと同じく発生率の高いがんで、確かに大腸がんの原因がポリープから発生することもあります。しかし、この腺種の段階で発見されることは、ある意味で「良かった」とも言えるでしょう。腺種の段階であれば、最悪がんが含まれるとしても早期のがんである可能性が高くなります。大腸がんは早期に発見できれば、治りやすいがんの一つのため、腺種の段階で発見されたのであれば、早期での治療が可能になるのです。

 

ポリープの大きさ、種類、がん化との関係

ポリープの大きさと種類

ポリープの種類は4種類ありますが、中でもがんとはっきり分からない腺種について詳しく説明します。

■良性腫瘍(上記の図で“腫瘍以外”):この2つのタイプのポリープは、基本的に正常細胞が集まってイボのような状態になったもので、がんとは無関係です。放置しても大腸がんになることはほとんどありません

炎症性ポリープ:クーロン病、潰瘍性大腸炎などの腸の炎症性の病気、感染症などの強い炎症を引き起こす病気にかかった後にできます。

過形成性:歳をとるとほとんどの人にみられるものです。老化現象によって起こるとも言えます。

■悪性腫瘍(腫瘍)

③腺種:ポリープ(腺腫)が数年かけて徐々に大きくなり、がんに移行していくケースが9割と一般的に言われています。また近年、過形成ポリープの中でも10mmを超える腫瘍は腺腫と同様に、がん化リスクの高いポリープと見なされています。

 

腺種の発生原因

腺種は、段階的に大きくなります。ある期間まで大きくなりそこでとどまり、あるタイミングから大きくなり始め、またその大きさにとどまるような成長をします。急に肥大化するということはありません。その理由はまだ分かっていませんが遺伝子の変異とも関係しているとの見解があります。がんはがん遺伝子やがんの抑制遺伝子など、複数の遺伝子の異常からなる疾患です。遺伝子が傷ついて変異を起こす中で、正常の組織→腺腫→がんへと進展していくと考えられています。1つの遺伝子が傷つくと広がるスピードが増し、また次の遺伝子が傷つくとさらに増大します。どういう腺種が大きくなるという傾向が現代の医学ではまだ分かっていないため、小さいうちから判断することは難しいようです。

 

がんか腺種かを見分ける方法

「がん」と「腺腫」はどのように見分けるのでしょうか?医者ががんと診断する際、腫瘍となっている組織や細胞の形が正常の組織や細胞とどのように違うかを見ていきます。これを「異型度(いけいど)」と呼びます。内視鏡で採取した組織の断片を顕微鏡で観察し、判断していきます。
正常な組織では細胞はみな同じような形をしており、ある一定の秩序に沿って整然と並んでいます。ところががんになると細胞が歪んだり、並び方が無秩序になっています。
正常な組織とがんははっきりと白黒つけられるものではなく、2つの間にはいくつかの変化段階があります。腺腫もその中間の過程に入っています。異型度は軽度異型、中等度異型、高度異型の3つのレベルに分類され、異型度が強くなるほどがんに近い状態ということです。

 検査された組織は、正常からがんまで下記5つのグループに正式に分類されます。
 1:正常である
 2:炎症性の変化がある
 3:腺腫性で軽度、または中等度の異型=腺腫
 4:腺腫性で高度の異型またはがんを疑うもの=腺腫とがんの一部
 5:明らかながんである

 

中間に位置する3の段階が腺腫で、異型度が高度になるほどよりがんに近くなり、またがんになる可能性も高いと考えられています。腺腫が大きくなるほど腺腫の異型度は強くなる傾向があります。

 

大腸ポリープのがん化予防

がんの芽をつむ

がんは、細胞の中にある遺伝子の異常により起こり、遺伝子の異常が積み重なることで進行する疾患と見なされています。大腸ポリープに関してでは、大腸の粘膜細胞のAPC遺伝子という遺伝子に障害が起こると、大腸の腺腫性ポリープが発生します。 腺腫性ポリープにまで発達すると細胞分裂が盛んになり、遺伝子異常が高い頻度で起こってきます。また、 K-rasいう遺伝子に異常が起こるとこの腺腫性ポリープは更に進行します。p53遺伝子に異常が起こると大腸がんが発生します。その後も遺伝子の異常が積み重なり生命を脅かします。

大腸がんになる手前である腺腫性ポリープの段階で治療することは、がん化予防のために非常に重要です。米国の研究グループは、腺腫性ポリープ切除を受けた約2500人を20年間経過観察したところ、死亡率が半分にまで減ったと報告しています。

 

免疫療法

一般的に行われているがん治療は、3大療法と呼ばれ、手術、化学療法、放射線治療があります。この3つは身体に負担がかかってしまったり、効果が得られない場合もあるため、第4のがん治療として免疫療法の研究が進められてきました。免疫とは人間が生まれながらに持っている能力で、細胞に進入してきた悪性物質を排除する体内のシステムです。

近年がん免疫療法は注目されており、様々な免疫療法が研究されています。アメリカの科学誌サイエンスでは、がんの免疫療法は免疫システムを利用した画期的な医療に選ばれています。

 

日本ではまだ3大療法や上記のその他の療法に加えられるほど知られているわけではありませんが、一部の免疫療法は保険の適用もされ始めているほど効果が明らかになっています。

 

免疫療法は、確かに他の治療ほど即効性はありませんが、効果が長期間持続するのが特徴です。自分自身の持つ免疫力を使った治療のため、体力があり免疫の働きも衰えていない病気の早期段階で使用するとより高い効果をあげることも知られています。3大療法のいずれかを選択した時に、免疫療法はその治療法の効果をますます向上させていくこともできます。

例えば、手術であれば傷口の治りが早くなる、化学療法の場合は副作用を軽減する、などです。

 

免疫療法は自分の細胞を使っていく治療法のためほとんど副作用がないのも利点です。悪性腫瘍やがんが発症すると、細胞は増殖を続け正常な細胞をどんどん破壊します。転移や再発を未然に避けるために、また闘病生活中の生活の質の向上のために、免疫療法は役立つ存在となっています。

 

大腸ポリープ、大腸がんの予防

大腸がんの危険リスクとして欧米化した日本の食生活が挙げられますが、最近では飲酒によるアセトアルデヒトの摂取が、DNAを作る葉酸を破壊し、がん化するリスクを高めるということが明らかになってきました。男性の大腸がん患者の4分の1が1日23g以上のアルコール摂取をしていたというデータもありますので、食生活や飲酒には気をつけましょう。

その他でがんになりにくくさせる、進行させない方法として直射日光を避け、ストレスをためず、ビタミンなどの抗酸化作用のある栄養素を摂ることが挙げられます。特に便秘が癖にならないよう、老廃物である便を腸内に長く停滞させないように気をつけ、規則正しい排便習慣や適度な運動によって腸内の働きを健康にしておくことが予防につながる生活習慣の一つと言えます。

 

さいごに 

日本の大腸がんの治療成績は世界でもトップレベルと言われています。様々ながんの種類の中では治癒率の見込めるがんの一つです。腺腫性ポリープを経由しないで発生する大腸がんもありますが、大腸がんは早期にみつかれば根治するがんでもあります。 粘膜の内側にがんがとどまっていれば、転移はないのでその部分だけを切除すれば完治します。

しかし、ポリープの症状である血便を痔と勘違いして見過ごした、便の状態がいつもと違うのに放っておいたなどで発見が遅れると、発見した時にはすでに転移があったというケースもまれにあるようです。日常生活にそれほど支障をきたさない兆候であることから病院で検査を受けるほどの決定的な要素がないとも言えます。もしポリープの腺種であった場合は、がん化するリスク、すでにがんであった場合はステージによって治療方法やその後の生活の質が大きく変わってきます。ポリープの段階で芽を摘んでおけばがん化せずに済み、対処はよりスムーズになってきます。ポリープについてはがん化する可能性があるものがあると念頭に置き、日常生活を過ごしていきましょう。

 

医療ライター 吉田あや

得意分野:医療系ライティング、経営者インタビュー記事など。

writer.happy02@gmail.com

 

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