がんの転移について考える

がんの転移については、根本的な原因がわからないので防ぐことは非常に難しいことです。

また、早期発見だったからといっても、がんは転移することがあります。

がん細胞の特徴と転移していくパターンについて調べていきます。

 

目次

がんについて知る

がんが転移するリスクは、がんを発症した全ての人にその可能性はあります。

まずは、がん細胞がどの様な特徴を持っているのか確認してみましょう。

 

がん細胞の特徴

 

国立がん研究センターがん情報サービス:https://ganjoho.jp/hikkei/chapter3-1/03-01-01.html

 

私たち人間の体にはたくさんの細胞があります。それぞれが正常に繰り返し活動しているので、健康な体を維持していくことができます。

しかし、がん細胞はなんらかの原因で発症して正常な細胞とは違う動きを始めます。

通常であれば、私たちの体にある免疫機能により撃退されるのですが、がん細胞はその攻撃を逃れ体内で増えていきます。

 

がんの転移とは、こうして体内で増えたがん細胞によるものです。転移したがん細胞は、原発巣とされる元々のがん細胞と同じ特徴を持っているので、進行が遅いがんであれば転移後もゆっくり進行し、逆に進行の早いがんは転移後も進行の早さは変わりません。

 

手術は根治ではない

がんの細胞は、目で見てわかるものから、私たちの目には見えない小さなものまであります。

 

 

手術や治療が完了すれば、体への負担が軽減され患者本人も安心することができます。しかし、前述のように目で確認できないほどの小さいがん細胞が残っていて増え続けてもおかしくはないのです。早期発見で治療ができても同じことがいえます。

そのために、術後も定期的に検査が必要となるのです。

 

がんが転移する仕組みを知る

がん細胞は、同じところに留まるわけではなく体内で増え続けていき、がんが転移していくのです。いったいどんな仕組みで転移していくのでしょうか?

 

転移は再発

転移と再発について考えてみましょう。

再発とは術後や治療後にがん細胞が発見されることをいいます。つまり、がん細胞の転移が確認されることは、再発したということになります。

 

転移に見られる3つのパターン

最初に発見されたがんを原発巣といいます。がんは留まらず体内に広がっていきます。これが転移です。

がんが転移していく方法は3つあります。

 

一般社団法人がん先端治療:https://sentanchiryou.com/metastasis/

 

血行性転移

血液の流れに入り、がんが他の臓器や全身へと転移していくことをいいます。

転移が考えられる臓器として、肺・肝臓・脳・骨が挙げられます。これらの臓器は、体内でも血液が多く流れる場所だからです。

 

(例)

大腸がんに多い転移先は、肝臓

膀胱がんに多い転移先は、肺

 

転移が数カ所に確認される場合は、血液の流れをたどることで原発巣の臓器もある程度、絞られます。

 

リンパ行性転移

リンパの流れに入り、原発巣から離れたリンパまでがんが転移していくことをいいます。全身への転移が考えられるため、手術で全てのがん細胞を取り除くことが困難なケースが多いのも特徴です。

例えば、リンパ行性転移は早期の胃がんでも発見されることがあります。

 

播種性転移(はしゅせいてんい)

がんが、体内で飛び散るように広がっていく転移をいいます。

 

体内には、たくさんの臓器がありますが、完全に埋め尽くしているわけではなく、隙間があります。

例えば、臓器を覆う腹膜や胸膜の間には隙間があります。がん細胞は、原発巣から剥がれこの隙間に落ちていきます。これを種まきのように例えられることから、播種性転移といわれます。

 

転移後の治療について

転移後の治療は、がんがどこに転移をしているのか?どのように転移したのか?等によって、治療方法はことなります。

 

治療方法

がんが転移していく方法は3つありました。

この3つがその後の治療方法を選択する基準になっています。

 

・血行性転移

血管に入り、がんが転移していく「血行性転移」には、化学療法(抗がん剤)の治療に期待ができます。本来、抗がん剤は、全身を巡る血管に入るために水に溶ける性質があります。

つまり、同じ血管に入るがん細胞に対して効果が期待できるのです。

 

・リンパ行性転移

血行性転移と同じく、化学療法(抗がん剤)も実施されています。

リンパ節の役割は、体内に入った細菌や異物を攻撃して排除することです。こうした免疫機能が元々あるので、免疫療法による治療には期待が持てます。

 

・播種性転移

播種性転移は、腹膜や胸膜にがんが広がっていくため治療は困難を極めます。

がんの三大治療より保険適応外となる先進医療を考えるケースも多いようです。

 

自分に合った治療法を見つける

がんによる、体の痛みや食事が取れない時には、健康状態も良くはありません。がんの治療で問題となるのは、その患者の健康状態です。治療に耐えられるだけの体力がなければ、効果が期待される治療法であっても実際に行うことはできません。

 

しかし、治療ができないことは、決して諦めることではありません。

体の状態、患者本人が何を望んでいるのか?緩和ケアについて医師と家族と相談しながら、治療していくことも最良であると考えます。

 

免疫療法について

がんの三大治療は、「手術」、「化学(抗がん剤)療法」、「放射線治療」といわれ、多くのがん患者がこの3つの治療法から自分に合う治療法を選択しています。

そんな中で「免疫療法」は、第4の治療方法として確立しつつあります。

 

他の治療法が有効でないとき

がんを発症して本当に怖いのが、転移が発見された時です。

転移していく速度や広がり方は違いますが、がんが全身あるいは原発巣から離れた臓器に転移が見つかる場合には、手術ができないケースが多く化学療法や放射線治療を選択することになります。

しかし、治療後に検査を実施しても効果があまり見られず落胆される患者もいることでしょう。

 

こうした時に、免疫療法を併用することで治療の効果を上げることができるとされています。

免疫療法には、「治療型ワクチン」と呼ばれる、「HITV療法」があります。

本来、私たち人間の体には、異物だと認識したウィルスを除去するだけの免疫力があります。しかし、がん細胞は免疫機能(細胞)に異物だと認識させることなく、増殖していくことができます。

 

そのために、HITV療法では免疫細胞に「がん細胞は異物である」と認識させるのです。免疫細胞に正確に多くの情報を伝えることで、がん細胞を攻撃することができるからです。

特に重要とされるのが、「樹状細胞」と呼ばれる免疫細胞に伝えることです。樹状細胞がいち早く、がん細胞であると認識することで他の免疫細胞も攻撃を始めることができます。

 

HITV療法のメリットは、

 

●   他の治療方法と併用することで、治療の成果にも期待が持てる

●   免疫機能が上がるので、患者本人の体力も上がる

 

化学療法や放射線治療は、副作用も辛く患者本人の体力だけでなく、モチベーションも下げてしまいます。

HITV療法で、治療に耐えるだけの体力や気持ちが持てたら、患者は積極的に治療に取り組めるきっかけになることでしょう。

 

有効とされるがんの進行レベル

HITV療法は、進行しているがん、転移や再発が確認されたがんに有効な治療方法として開発された「治療型ワクチン」です。ですから、早期発見されたがんや、手術が適応となるがんは対象外とされています。

 

この治療方法に該当するがんは、「ステージ4」で、末期ガンと言われるレベルです。

 

●   腫瘍が約3cm

● 確認された転移が5ヶ所

 

これは、治療の効果が期待できるがんの大きさと転移の目安です。もちろんこれ以上に腫瘍が大きい場合や、転移の数が多い場合にも治療しています。治療型ワクチンの良いところは、治療は困難だと思われるレベルであっても治療することができることです。

 

その他の免疫療法について

今回は、HITV療法を詳しく説明しましたが、ワクチンを用いた免疫療法は、他にもあります。

 

・ペプチドワクチン

抗原ペプチドを投与することで、体内にある免疫(T細胞)にがんを認識させ攻撃するものです。

私たちが持っている免疫力は、がん細胞によって弱くなり十分な働きができていない可能性があります。つまり、ペプチドワクチンによってこの免疫(T細胞)が本来の働きができ、なおかつ持続できるようにする治療方法です。

 

・自家ワクチン

患者の体内からがん細胞を取り出して、がん抗原としたワクチンを作ります。

化学合成品を原料とするペプチドワクチンと違い、患者自身のがん細胞を使用していることで、より効果が期待できるワクチンとして治療ができます。

ただし、自家ワクチンを作るためには生きているがん細胞が大量に必要となるので、どのように採取するのかは医師と相談する必要があります。

 

・ネオアンチゲン樹状細胞ワクチン療法

近年、個々のがん細胞によるワクチン製剤の開発・研究が進められています。

がんという同じ病気であっても、体内のがん細胞には違いがあります。そこで、個別化ワクチンとして、「ネオアンチゲン樹状細胞ワクチン療法」があります。

ネオアンチゲンは、正常な細胞には見られないため、がん細胞にだけ攻撃をすることができます。

個別化することで、患者一人ひとりに合ったワクチンを治療に活かすことができるので、これから期待される治療方法です。

 

まとめ

がんの転移は、3つのパターンがあり、それぞれに期待できる治療方法が違いました。転移した経緯を知ることで、最も適した治療方法を選択することができます。

 

がん治療後の5年間は、転移や再発の確率が高い期間です。残っているがん細胞も確認されず、転移も見られなければ、5年後の生存率は上がります。

 

治療後、安易に考えず、がん細胞が確認できなくても、根気よく検査を続けていくことが大切です。

 

 

 

出展

国立がん研究センターがん情報サービス:https://ganjoho.jp/hikkei/chapter3-1/03-01-01.html

 

一般社団法人がん先端治療: https://sentanchiryou.com/metastasis/

 

 

 

文:長谷川祐子(医療ライター)

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