どんながんにも発症するリスクはあり、原因となることがあります。
膀胱がんも同様に原因とされることがあります。
原因がわかっていれば、膀胱がんを発症する確率を低くすることができます。
膀胱がんになる原因について調べてみました。
目次
膀胱がんとは
膀胱の役割
膀胱の役割は、2つあります。
● 尿を貯留する
● 尿を体外に排出する
膀胱は、腎臓で作られた尿を貯留します。尿は1時間で約60mlずつを貯留してきます。そして膀胱は、尿が貯留すると尿意を促します。
袋状である膀胱は、尿を体外に排出しないと、容量を超えてしまいます。この袋の大きさについては、一人ひとり違うので、尿意のタイミングや排出量も違います。
膀胱がんについて
膀胱がんは、胃がんや大腸がんと比べると、発症数は少なく死亡率の低いがんです。その理由は、日々の排尿にて自覚症状が確認できるからです。
● 血尿
● 頻尿
● 排尿痛
こうした違和感が感じた時には、放置して置かず速やかに医療機関に受診してください。がんの進行は比較的ゆっくりですが、自覚症状が出ている時はがんが進んでいることが考えられるからです。
治療については、手術が一般的な治療法ですが、大きく違う治療法としては、抗がん剤を直接注入していく膀胱内注入療法があります。
膀胱がんを発症する原因は喫煙
現在、膀胱がんが発症する原因として一番に挙げられるのは、たばこの喫煙です。その確率は、喫煙者の男性で50%以上、女性で30%以上と明記されています。
喫煙で発症する理由
なぜ、喫煙することで膀胱がんが発症するのでしょうか?
たばこ本体、たばこの煙には、それぞれ発がん物質が多く含まれていることが分かっています。
特に問題とされるのが、たばこの煙です。
喫煙することで煙は最初に肺へと入ります。
その後、血流に運ばれ発がん性物質は、全身をめぐるので、膀胱がんを発症します。
実際に、喫煙することで発症のリスクは2倍から4倍に上がることも分かっています。
国立がん研究センター予防研究グループ:http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/339.html
同じ喫煙者でも、1日の本数・喫煙の年数が違います。
さらには禁煙をした人もいます。
これらの違いも、発症するリスクに大きな違いが出ています。
また、喫煙しない人が心配するのは、誰かが吸っているたばこの煙です。
現在のところ、膀胱がんとの因果関係を裏付けるデータはありませんが、可能性はゼロではありません。
禁煙のすすめ
過去に喫煙者であっても、禁煙に成功すれば膀胱がんを発症する確率は低くなります。
そして、その年数が長くなれば、さらに下げることができます。
膀胱がんの発症原因として如実に結果が出ているので、喫煙者は禁煙を考えてみてはいかがでしょう。
発がん性物質を有する職業について
膀胱がんの特徴として、発がん性物質との接触で発症します。
発がん性物質に接触することはほとんどありませんが、職業が原因で過去、膀胱がんを発症したケースがあります。
膀胱がんの原因と考えられる職業
・ゴム
・皮革
・染料または染色
発がん性物質の種類
・ナフチルアミン
・ベンチジン
※これらは、芳香族アミン類と呼ばれます。
上記の発がん性物質は、染料の原料に含まれています。
つまり、工場などの生産過程において原料を吸い込み、体内に入ります。
職業となれば、慢性的に接触を繰り返すので蓄積され、膀胱がんを発症するリスクは高くなります。
日本では、福井県の染色工場、京友禅の染色職人など職業が原因となり膀胱がんを発症した例があります。
現在、日本では上記の発がん性物質の製造・使用などを禁止しているので、こうした危険にさらされることはほとんどありません。
膀胱がんを発症するその他の原因
喫煙・職業以外にも膀胱がんの原因があります。
・食べ物
わらびやゼンマイなど、自然には発がん性物質が含まれる植物がありますが、下処理や調理法によって減少すると言われています。
・化学療法と放射線治療
がんの治療として使用される一部の化学療法と放射線治療の被曝が、膀胱がんの原因となることがあります。
また、日本では直接関係はありませんが、エジプトのナイル川では寄生虫の感染が膀胱がんの原因になると言われています。
カフェインとの因果関係
現在、膀胱がんとの因果関係を研究しているのが、「カフェイン」です。
国立がん研究センター予防研究グループ:http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/339.html
たばこを喫煙することで膀胱がんの発症リスクは高くなりましたが、カフェインの摂取が多いことも、膀胱がんの原因ではないかとされています。
膀胱がんの予防について
喫煙が原因なら、禁煙をすればいいと言うことは簡単ですが、なかなか実行できない人もいます。
体調を崩して、自覚症状が出ることではじめて意識されますが、それでは遅い場合もあります。
すでに喫煙してきた年月がリスクであることを理解して、禁煙を考えてみてください。
また、職業で発がん性物質と関係があるのでは?と思われる方は、マスクやゴーグルをするなど自分自身で身を守るようにしてください。
免疫療法について
がんの治療として標準治療とされるのが、手術・化学療法・放射線治療です。
この3つをメインにがんの治療方針が決められます。
しかし、手術でがんを取り除くことができても再発や予防に努めなくてはいけないのが現状です。
できることなら再発のリスクを下げ、的確な予防をしたいと誰もが望みます。
この希望を叶えてくれるのが、免疫療法で使用されるワクチンです。
免疫療法は、多くの方が「がんを治す治療」と考えています。
確かに第4の治療法として注目されていますし、決して間違えではありません。
しかし免疫療法で使用するワクチンは、がんを予防する治療としても使用されています。
予防型ワクチンと治療型ワクチンについて
免疫療法は、この「予防型ワクチン」と「治療型ワクチン」を必要に応じて使い分けることで、さらにがん治療を有効にすることを可能としています。
例えば、がんを早期で発見ができたら、手術で全て取り除くことが可能です。
通常の治療でしたら、ここで治療としては一区切りがついて予後の経過観察となります。
しかし、術後に「予防型ワクチン」の投与を開始することで、がんを再発させない体づくりに取り組むことができます。
ある一定の年齢になれば、誰にでもがんになるリスクはあります。
だからこそ、がんにならないように体を健康に維持することが求められます。
それは、がんを発症した方も同じです。
万が一、予防型ワクチンを投与していてもがんになった場合は、「治療型ワクチン」に切り替えることができます。
これは、予防型と治療型とワクチンを区別していますが、樹状細胞に与えるがん細胞の情報量を変更するだけなのです。体への副作用もありません。
免疫療法は、標準治療で成果の出なかった患者だけに有効な治療法ではありません。
早くから他の治療と併用することで、がん治療の効果も上げていきます。
目的に合せたワクチンを治療として、免疫療法も積極的に取り入れていきましょう。
まとめ
膀胱がんは、喫煙という身近にあるものが最大の原因でした。
たばこを吸う人のリスクはもちろんですが、今後は受動喫煙についても考えていくことが必要です。
ストレスや悩みがある人は、喫煙がストレス解消となっている場合もあります。
社会的に禁煙が推奨され、喫煙所や分煙など、様々な取り組みが進んでいます。
禁煙を進める前に、こうした喫煙の原因をなくすような生活を心がけたいですね。
出展
国立がん研究センター予防研究グループ:http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/339.html

総合病院・クリニック・調剤薬局にて医療事務員として10年以上勤務したのち、ライターへと転身。
現場で学んだ知識と経験を元に、医療に関する取材・執筆活動を行う。
興味のあるテーマは、がん医療・先進医療。