精巣がんの症状、初期症状は発見されにくいので注意

日本人男性の発症率は10万人に1~2人と発症率も低く、精巣がんは認知度が低いことと初期症状が見逃されやすいため、他の臓器への転移し自覚症状が出て初めて発見されることも多いです。

例えば肺転移の場合は血痰や息切れ、後腹膜リンパ節転移の場合は腰、背中のしこりや痛みがあります。

進行転移がんとならないよう男性には注意をしてほしいがんの種類です。

 

ここではなるべく早期に精巣がんを発見するために、精巣がんの症状についてお伝えします。

 

目次

精巣がんとは

精巣は男性ホルモンを分泌すると同時に精子をつくる臓器で、精巣腫瘍の約9割以上はこの精子をつくる細胞の異常から発生します。

乳幼児期に睾丸が陰嚢におさまっていない「停留精巣」の既往があると、発症リスクが通常の10~15倍になります。

10歳頃までに発症する精巣腫瘍は奇形腫であることが多く、一般に良性と考えられ予後は良好です。

ですが良性の場合は約1割で、9割以上が悪性とされています。

 

症状

陰嚢の中身の腫れや硬さの変化を訴えて発見されることがほとんどです。

痛みのないのが3分の2、軽い痛みや違和感を感じて受診することが3分の1と言われています。

多くの場合自覚症状も強い痛みもないため、軽視されがちです。

 

陰嚢水腫、精液瘤、鼠径ヘルニアといった混同されやすい疾患もありますが、気づいたら進行していたということもあります。

しかも精巣がんは短期間で転移するので恐ろしいがんの一つです。

もし腹部リンパ節などに転移があれば腹痛があり、肺に転移すると息切れや血痰が症状として出てきます。

 

混同しやすい症状

陰嚢の中身が腫れてくる症状がありますが、この症状を起こす病気は上記でも触れたようにたくさんあります。

このうち陰嚢水腫が最も多く見られます。

この中で、精巣がんは少ない方ですが、重要な病気ですのできちんと診断しなければなりません。

陰嚢の中身が腫れていると感じたら早目に泌尿器科を受診してください。

 

セルフチェック

混同しやすい症状と見分けるためのセルフチェック方法をご紹介します。

□ 左右の精巣をそれぞれ触り表面にしこりがなくなめらかか

□ 親指と人さし指で精巣をつまんでみて陰嚢の中で自由に動くか

□ 大きさや手触りが通常と変わらないか

 

 何か違和感があれば泌尿器科の受診をしましょう。

 

診断

①最初に陰嚢内のしこりを確認します。水が溜まった状態をしこりとして感じることもあり、この水腫とがんかどうかを判別するために超音波検査を使用することもあります。

検査には腫瘍マーカー、画像診断(超音波、エコー、MRI検査)などがあります。

 

 

 

ステージごとの症状と精巣がんの治療

ステージごとの症状

【ステージ1】

がんが精巣内のみに留まっている状態です。

肺がん、胃がんなど通常のがんは、がんかどうかを調べる際に生検をします。

組織の一部に針を刺してわずかな組織を取り、顕微鏡で見ることでがんの種類を調べます。

精巣がんの場合は、生検で針を刺すことでがん細胞が血流に乗って転移するリスクがあると考えられているため、生検ではなく、高位精巣摘除術と呼ばれる手術で精巣と精巣上体を取る施術を行います。

 

片方の精巣を取ってしまったとしても、もう片方がありますので、不妊やホルモン不足になる心配はありません。

 

がんの種類によっては再発予防のために化学療法(化学)や放射線治療を行うこともあります。

この段階で発見できれば、5年生存率は98%と言われています。

 

【ステージ2】

血液に乗ってがん細胞が転移し、後腹膜(おなかの壁の後ろ、背中に近い部分)のリンパ節に転移している状態です。

化学療法を行った後リンパ節を手術で取って、治療効果を判定します。

 

【ステージ3】

リンパ節以外に、肺やその他の臓器にも転移している状態です。

他のがんでは遠隔転移がある場合は末期と見なされ、治る可能性は低いです。

もともとのがんに対しても無理に治療をしないことが多いのですが、精巣腫瘍の場合、転移していても根治を期待できるため、高位精巣摘除術と化学療法を行います。

 

治療法

手術

精巣腫瘍は、病理診断と腫瘍マーカーの値の結果で大きくセミノーマと非セミノーマの2つに分類されます。

より悪性度が高いのが非セミノーマで、転移しやすい特徴があります。

この分類がどちらになるかによって治療方針が異なります。

 

精巣腫瘍が疑われる場合には、まず腫瘍があると思われる側の精巣の摘出手術をします。

そして、手術で取り出した組織を調べると同時にCTなどの画像診断によって、腫瘍の種類と病期を判断します。

 

化学療法

基本的には転移のないⅠ期でも化学療法が適用されます。

しかし、転移のある精巣腫瘍であっても、化学療法は効果を発揮します。

一般的にはII期以上の患者でも7割が治るというデータがあり、様々な固形腫瘍の中で最も化学の治療効果が高いと見なされています。

化学療法を中心とした集学的な治療により根治が期待できる数少ないがんの1つです。

 

放射線治療

腫瘍に放射線を当て、細胞DNAにダメージを与え腫瘍を小さくしたり消滅させる治療法です。

放射線治療の利点は、手術によって切除することなく、治療効果を期待できることです。

臓器をそのまま残すことができ、臓器の働きをがんになる前と同じようにしておけることです。

 

精巣腫瘍の場合、セミノーマと非セミノーマでは効果に差が出てきます。

効果があまり期待できない非セミノーマでは初期段階に放射線治療が選択されることはまずありません。

放射線治療の副作用はひどいものはほとんどありませんが、放射線が照射された部位に皮膚炎・粘膜炎などや、下痢、直腸炎や膀胱炎などがあります。

 

また、すぐ副作用が出なくても何年後かに突然発生することもあるようです。

しかし、若年層に多い腫瘍のため、二次がん発生など長期的な問題にも注意が必要です。

 

【補足】放射線療法と転移の関係について

放射線を予防的に照射した場合と、何もしない場合とでは放射線照射をした方が再発率は断然低いというデータがあります。

 

精巣腫瘍で特に懸念されるのが後腹膜リンパ節への転移です。

患者の約2割に転移すると言われています。アメリカでは、転移を予防するために放射線の照射が行われるのが一般的ですが、日本では一般的ではないそうです。

 

手術後の射精障害について

後腹膜リンパ節郭清術を受けることにはリスクがあり、逆行性射精という障害が生じることがあります。

逆行性射精とは、射精したときの感覚に変化はないにも関わらず精液が外に出てこない状態です。

この障害が起こった際、病気の広がり度合いにもよりますが、射精機能を残すよう神経温存手術も可能です。

 

また、逆行性射精があっても、影響のない精巣の機能が正常であれば、精巣から直接精子を採り出すことができるため、妊娠は不可能ではありません。

 

化学の副作用

精巣腫瘍に対する化学療法は、根治を目指して実施する治療です。

比較的大量の化学を使用することが多いです。

そのため治療中の副作用は、他のがんにおける治療と比べるとかなり強いです。

しかし現在では、化学の副作用による苦痛を軽くする対策や、対処のための薬剤の使用が実施されるようになり、以前のように深刻な副作用が発生することは減少しています。

 

また、多くの副作用は、治療を終了、中断することによって改善します。

副作用が著しい場合には、治療薬の変更、治療の休止、中断などを検討することもあります。

 

標準的な化学治療には、少なからず副作用が発生します。

治療直後の副作用は、吐き気、だるさ、聴力障害、手足のしびれ、血液の白血球、赤血球、血小板の減少、などで、多くは一時的なものです。

重大な副作用をきたす場合が数%程度あり、副作用が原因での死亡も報告されています。

 

 

精巣腫瘍の早期発見について

精巣に痛みを感じたとしても、「そのうち治るだろう」と思ったり、恥ずかしさから病院に行くことを躊躇するかもしれません。

しかし、今回ご紹介したとおり、精巣に痛みをともなう病気は適切な処置をしないまま放置してしまうと男性不妊症につながるリスクが高いものばかりです。

 

将来子供が欲しいと思っている方は少しでも精巣に痛みを感じたら早めに泌尿器科を受診してください。

 

 

精巣腫瘍の治療を支える免疫療法

精巣腫瘍には化学を多く使用しますが、化学は耐え難い副作用の辛さだけでなくDNAの細胞をも破壊してしまうほどの力があります。

がんは免疫力が低下した結果起こる病気です。

化学など免疫を強く傷つけてしまう療法は、がんに対応できる体作りを不可能にします。

 

免疫療法は人間の体に本来備わっている病気を防ぐ力を最大限に引き出していく治療法です。

免疫療法は自分の細胞を使っていく療法のためほとんど副作用がないのも利点です。

 

化学に多く見受けられる深刻な副作用は激しい吐き気と嘔吐ですが、その症状を抑えるために化学を点滴する前に「制吐剤」の投与をしたり、まだ吐き気を感じていなくても「内服薬」を処方します。

化学を大量に投与する治療においては、このような副作用に対応する薬の量も通常より多くなります。それにより免疫力もますます落ちていく可能性があります。

 

特に若年が気をつけなければいけないのが不妊の問題です。

若年の患者の場合、化学療法後は少なくとも2年は正常な精子を作ることができません。

特に大量の化学を使用した場合は、造精機能が完全に失われる懸念もあります。

もし化学を使用することになったら将来の自分の体のことも考えて免疫療法を取り入れるのも良いでしょう。

 

 

さいごに

精巣がんは肺転移巣や後腹膜の大きなリンパ節転移巣が先に見つかり、その原発巣の検索過程で発見されることがあります。

ですが、多くの精巣腫瘍は計画された治療を行うことにより、完全に乗り越えるケースも少なくありません。

 

たとえ進行性の精巣腫瘍であると診断されても、途中で治療を受けることを決して諦めないことが大切です。

 

医療ライター 吉田あや

医薬系会社にて医療事務に従事する傍らで、
美容系サイトにて痩身美容(脂肪吸引など)ついて執筆するフリーライター。
主に得意分野は、がんや免疫療法、経営者インタビュー記事作成など。

writer.happy02@gmail.com

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