増えゆく選択肢 胃がん末期の治療法

胃がんは、全世界的にみてアジアや南米に多いがんで、日本においても罹患率や死亡率の高いがんになっています。胃がんの中で胃の粘膜の深い所にある固有筋層(こゆうきんそう)とよばれる部分にまで浸潤(しんじゅん)した状態を進行胃がんと言います。進行胃がんが更に進んだ状態である胃がん末期の基本情報と治療法について紹介していきます。

 

 

目次

胃がんについて

胃がんは、胃の壁の最も内側にある粘膜内の細胞が、外部からの刺激や遺伝子の異常が原因でがん細胞になって無秩序に増殖を繰り返すことで発生します。胃がん検診などで見つけられる大きさになるまでには、10年から15年はかかると言われています。大きくなるにしたがってがん細胞は胃の壁の中に入り込み、外側にある漿膜(しょうまく)やさらにその外側まで侵食し、近くにある大腸や膵臓(すいぞう)にも広がっていきます。がんがこのように広がることを浸潤(しんじゅん)といいます。

 

 

胃がんのステージについて

胃がんは早期であれば比較的に生存率は良好ですが、進行するとⅣ期で5年生存率が7.2%と、大変深刻な状況になります。

特に悪性度の高い4型(びまん浸潤型)のスキルス胃がんは、胃X線検査や内視鏡検査でも見つけづらいため進行していることが多く注意が必要です。

 

胃がんのステージ分類は、深達度とリンパ節や他の臓器への転移の有無で決定され、Ⅰ~Ⅳに分けられます。

ステージ分類とは、進行の程度を表す言葉です。

国立がん研究センター がん情報サービスhttps://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/diagnosis.html

 

 

胃がんの分類

がんの深さが粘膜および粘膜下層までのものを「早期胃がん」、深さが粘膜下層を越えて固有筋層より深くに及ぶものを「進行胃がん」といいます。

それぞれ、がんの形状・深達度によって、分類されています。

がんのきほんhttp://www.gan-info.com/305.2.html

 

・早期がんの分類

 

早期胃がんは、隆起型のⅠ型から、陥凹型のⅢ型までに分けられています。

がんのきほんhttp://www.gan-info.com/305.2.html

 

・進行胃がんの分類

進行性胃がんは固有筋層からさらに深く浸潤している状態です。

浸潤の仕方によって、以下の様に分けられています。

特に4型に分類されるスキルス胃がんは、内視鏡検査などでも見つかりにくく、また進行も早いため予後が悪い事が多いです。

がんのきほんhttp://www.gan-info.com/305.2.html

 

進行胃がんの症状

進行性胃がんは初期の段階では、目立った症状が無く、胃潰瘍や胃炎と同じような、

胸焼け
吐気
食欲不振
腹痛
上腹部の不快感

 

といった症状が出る事があります。

更に症状が進むと、吐血や下血などの症状も出てきます。

 

胃がん末期の治療法

胃がんの末期では、がん細胞は胃のみに限局されず、周辺の臓器への浸潤や、血液やリンパを介し全身へ転移が起こります。

そのため原発部分である胃だけの治療では不十分で、手術療法だけでなく、放射線療法・薬物療法を組み合わせて治療を行います。

特に全身療法である抗がん剤治療(薬物療法)が効果的とされています。

 

抗がん剤治療と副作用

 

抗がん剤の多くは、細胞自体あるいは細胞の中にあるDNAに障害を及ぼし、増殖を抑制する作用があります。がん細胞は細胞分裂・増殖が活発なため、その分、攻撃にさらされやすい特徴があるのです。しかし、分裂・増殖をするのは、がん細胞だけではないのです。正常細胞でも、血液をつくる骨髄の造血細胞や口腔粘膜、消化管粘膜、毛根細胞などの、頻繁に細胞分裂する特徴があるものは、抗がん剤の作用を受けやすくなります。

造血細胞が傷ついて充分に分裂・増殖できなくなると、赤血球や白血球、血小板などが作られなくなり、貧血や深刻な感染症、出血などを引き起こしやすくなります。

また、傷ついた正常細胞が毛根細胞であれば、抗がん剤による脱毛、口腔粘膜なら口内炎、消化管粘膜なら吐き気や下痢といった副作用が現れます。特に起こりやすい副作用は吐き気、脱毛、白血球の減少などです。副作用の起こりやすさは抗がん剤の種類によって違い、個人差もあります。

副作用が強く出る場合は、治療を中止したり、一時停止したりする場合があります。

 

「薬」は、一般に「効果」と「薬物有害反応(副作用)」の2つの作用があります。一般的な薬、例えば頭痛薬などは、飲んですぐに効果が感じる事ができ、誰が飲んでも効き目がある事が多いです。そして多くは副作用の症状は出さずに、効果を発揮する事が出来ます。しかし、そのような薬でも大量に摂取すると、副作用が出てきます。抗がん剤の場合は、効果を出すまでの量と副作用を起こす量が、ほぼ同量の場合や逆転している場合があり、副作用を起こしているにも関わらず、効果が出ていない場合もあるのです。

 

 

免疫療法

 

抗がん剤を用いない全身療法のひとつに、免疫療法があります。

現在がんの治療法としては、外科手術、化学療法、放射線療法の3つが一般的です。

こうした療法は早期のがんには効果を発揮しますが、進行がんにおいては必ずしも有効ではないと考えている医師も多くいます。

現在免疫療法は、すでに確立しているがんの三大療法に続く第四の治療法ともいわれています。

 

免疫療法は、その他の療法との併用でも効果を発揮しており、今後更に注目されて行く治療法のひとつです。

 

進行がん、末期がんと診断された場合は、原発巣だけでなく転移している可能性が高い事が多くなります。

そうなると手術療法や放射線療法などの局所療法では、転移した先までの治療が難しく、また、目にみえない小さながんを取り残し、再発してしまう恐れもあります。

転移がんでも、限局されたものの場合はそこだけ手術で取り除く事は可能ですが、手術が難しい場所や、転移が複数みられる場合には、局所療法では不十分で、全身療法との併用を選択して行きます。

 

がんにおける免疫療法は、免疫機能における異物排除機能や免疫記憶機能の中のより特異的な応答を誘導させることにより、がん細胞の増殖を抑制したり、破壊したりする方法です。

広い意味での健康食品の摂取(漢方薬など)から、モノクローナル抗体やサイトカイン(免疫担当細胞の情報物質)の投与、細胞の移入療法、免疫強化療法など多岐にわたる方法から、より効果的な方法が模索されています。

 

 

補完代替療法・統合医療

 

補完代替療法とは、通常、がん治療の目的で行われている医療(手術や薬物療法〔抗がん剤治療〕、放射線治療など)を補ったり、その代わりに行う医療のことです。鍼・灸、マッサージ療法、運動療法、心理療法と心身療法などに、健康食品やサプリメントなどがあります。

末期がんになると、手術治療や薬物療法、放射線治療といった標準的にがんに対して行われる治療で対応できなくなる場合があり、いわゆる“民間療法”や“代替療法”と呼ばれる、補完代替療法に関心を持つ患者さんや家族は少なくありません。

しかし、その中には効果が認められないものや、逆効果のものもあり、良く見極めて選択するのが良いでしょう。

 

「統合医療」は、近代西洋医学と呼ばれる現代の医学と相補(補完)・代替療法や伝統医学等とを組み合わせて行う療法であり、多種多様なものが存在します。国立補完統合衛生センター[米国]においては、「統合医療」を、「従来の医学と、安全性と有効性について質の高いエビデンスが得られている相補(補完)・代替療法とを統合した療法」と定義しています。

下記の表は、2010(平成22年)度厚生労働科学研究「統合医療の情報発信等の在り方に関する調査研究」で採り上げられた療法について、効果の有無を問わず表に整理したものです。

「統合医療」に係る情報発信等推進事業『「統合医療」情報発信サイト』http://www.ejim.ncgg.go.jp/

 

この中の鍼灸はがんの治療にも利用されている方法です。効果としては、痛みや不快な症状の軽減、特に抗がん剤の副作用である吐き気や嘔吐、乳がん治療の副作用で見られる顔面の紅潮などに効果が高いと言われています。鍼灸は、特定の部分の疾患に対する治療というよりは、冷えやしびれ、むくみやコリなどを和らげ、不快な身体症状と精神的なストレスを取り去ってくれる治療法なのです。

 

鍼灸治療によって直接がん細胞を死滅させたりする効果は無いですが、標準治療と併用することでがんの治療効果を上げる事が出来ます。特定の経絡を刺激する事で、鎮痛効果を生み出す脳内モルヒネ様物質が分泌されるという効果があり、薬の軽減に役立っています。

 

このように、患者様への負担が少なく、また手術療法・放射線療法・薬物療法といったがんの基本治療の副作用を軽減し、治療効果を高める役割があるのが、統合医療です。

 

 

まとめ

 

胃がんの末期では、周辺臓器や、遠隔の臓器への転移が認められ、治療は全身療法である抗がん剤治療を中心に行われます。副作用も多く十分な効果が得られない事もありますが、様々な治療法と併用する事で、効果が期待できるようになってきました。また、抗がん剤療法以外の全身療法である免疫療法も研究が進められ、その効果が知られてきています。

末期がんには、療法が無い訳ではないのです。高度な補完代替療法や統合医療など、選択肢は広がりつつあります。

あらゆる治療法の中から、患者様ご自身の希望するライフスタイルに合った治療法を選択する事が、可能な時代になってきました。

 

 

国立がん研究センター がん情報サービス

https://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/diagnosis.html

がんのきほん

http://www.gan-info.com/305.2.html

抗がん剤の種類と副作用

https://www.anticancer-drug.net/

統合医療情報発信サイト

http://www.ejim.ncgg.go.jp/public/index.html

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