がんが肝臓へ転移する前に知っておきたい肝転移についての基本

がん細胞は、全身に転移する可能性がありますが、肝臓は、ほかの臓器からがんが転移しやすい場所です。それはどうしてなのでしょうか?がんの転移と、肝臓がんについて詳しく説明します。

 

 

 

目次

肝臓とは

肝臓は体の中で最も大きな臓器です。腹部の右側にあり右助骨の下に収まっています。この肝臓にはどのような役割と特徴があるのか見ていきます。肝臓には3つの機能があります。

 

肝臓の役割

・解毒作用

血液中の有害な物質を分解、処理をします。分解した血液を血管や胆汁に排出する解毒作用があります。分解された有害物質は最終的に、尿や便に混じって排出されます。

 

・代謝

人間は、食物から吸収された栄養素をそのままの形で使用することはできません。使用できる栄養に変えるために、血液で栄養素を肝臓へと運び、貯蔵します。

肝臓では栄養素を体が利用しやすいたんぱく、脂肪、炭水化物に変えます。

 

・胆汁の生成

消化吸収に必要な、胆汁を肝臓で生成します。肝臓で作られた胆汁は十二指腸へと流れています。

 

このように、肝臓は体の循環を担う役割があります。

 

肝臓の特徴

肝臓には再生機能があります。他の臓器にはない特徴です。

病気などが生じ、一部を損失しても、もとに戻り機能が再生します。しかし、再生機能が低下している場合は、肝臓が元通りにならないこともあります。

 

 

肝臓がんの要因

主な要因は、肝炎ウイルスによる持続感染です。肝炎ウイルスに感染すると、長期にわたり、炎症と再生が繰り返されます。繰り返しているうちに、遺伝子の突然変異がかさなり、がん細胞へと進展いきます。

肝炎ウイルスには、A,B,C,D,Eと複数存在します。肝がんと関係するウイルスはB,Cの2種類です。

 

肝炎ウイルス以外の原因は、他の臓器からの転移による肝臓がんです。

体の循環を担っているため、ほかの臓器からがん細胞が転移することの多い傾向があります。

がんを発症したら肝臓への転移していないかを確認することが大切です。

 

 

転移と再発

がんは治療をしても、転移や再発が起きる危険があります。この転移と再発はどのような違いがあるのでしょうか。

 

転移とは

最初にできたがんである原発巣が大きくなるにつれて、その周囲の血管やリンパ管などのもがんが浸潤していきます。血管やリンパ管にがんが浸潤すると、血液やリンパ液の流れに乗って全身へ広がります。

 

再発とは

目に見える大きさのがんがなくなった後、再びがんが出現することをいいます。

手術でがんを切除することや、局所療法で治療しても、残った臓器から新しいがんが発生することも多くあります。再発部位の90%は同じ臓器内です。

 

 

原発肝臓がんと転移性肝臓がん

肝臓がんには原発性肝臓がんと転移性肝臓がんがあります。肝臓から発症したがんか、他の臓器から転移がんか、分けられています。

また、それぞれの違いについて説明します。

 

原発性肝臓がん

原発性肝臓がんは、発症した組織により種類が分けられています。

 

・肝細胞がん

肝細胞は栄養素の合成、分解貯蔵、解毒に関係する細胞です。この肝細胞から生じるがんのことをいいます。

 

・胆管細胞がん

胆管細胞は、胆汁の通り道である胆管の上皮から形成する細胞です。この細胞から生じるがんのことをいいます。

 

転移性肝臓がん

原発巣という他の臓器からできたがんが肝臓に転移したものを意味します。ほぼすべての臓器が肝臓に転移する可能性があります。

肝臓へ転移することの多いがんは次の通りです。

 

消化器系のがんである、大腸がん、胃がん、膵がん。

婦人科系のがんである、子宮がんや卵巣がん、そのほか乳がん、肺がん、腎がん、頭頸部がんなどが多いとされています。

このようながんになった場合、肝臓へ移転する可能性があると知り、定期的に検査をすることが大切です。

 

特に肝臓へ転移することが多い傾向にあるのが、大腸がんです。

 

肝臓がんの転移が多い理由

多くのがんが肝臓へ転移する理由は、肝臓が体の血液を循環させる機能を担っているからです。この循環とはどのようなことなのでしょうか。

体の血液は、肝臓に辿り着きます。すなわち、肝臓以外の臓器のがん細胞も、血液の流れに乗って肝臓に辿りついてしまうのです。

 

 

 

肝臓がんの症状

肝臓がんにはどのような症状があるのでしょうか?肝臓は「沈黙の臓器」といわれています。初期の段階では自覚症状がないことが特徴です。症状がでたときには進行している場合があります。進行したときに出る症状は次のようなことがあります。

 

食欲不振、だるさ、微熱、おなかが張った感じ。

便秘や下痢などの便通異常、黄疸、貧血、こむら返り、むくみ、皮下出血などがあります。

 

 

転移性肝臓がんの検査方法

検査には血液検査、超音波検査、CT検査が用いられます。それぞれについて、詳しく説明

します。

 

・腫瘍マーカー

血液の検査です。どこにがんが潜んでいるかの目安になります。

 

・超音波検査

体の表面に超音波を出す機械をあてます。超音波の様子を画像にして観察します。

 

・腹部CT検査

体の内部を描き出す検査です。がんの広がりを調べることができます。

 

 

肝転移の治療法

肝臓に転移した際行われる治療法は、次のような方法があります。

 

・肝切除

長期生存の期待ができる方法といわれる方法です。手術により、肝臓を切り取る方法です。

5年生存率は30~50%です。しかし、がんの広がりが大きいために切除できない人が多いという現状があります。

 

・外科治療と薬物治療の組み合わせ

薬物と外科治療を合わせた治療が広く行われています。

以下のように組み合わせる方法があります。

・肝切除→薬物療法

・薬物療法→肝切除→薬物療法

 

・肝臓の再生機能を使った治療

肝臓には再生機能があります。

正常な肝臓であれば、肝臓の30%~40%程度の肝臓が手術後に残っていれば、数週間でほぼ同じ大きさまで戻ります。

そのため、1回目の手術でできるだけ切除します。残りの肝臓が再生したあと、2回目の手術で取り残したものを全て取り除くことができます。

また、肝臓の再生を待っている間に、抗がん剤治療を行うことがあります。

 

 

免疫療法

どの治療方法とも合わせて行うことができる治療法が免疫療法です。免疫療法により、体の免疫を上げることができます。

免疫は、がん細胞の増殖をおさえる役割があります。しかし、がんを発症している体は免疫が下がっている状態のため、がん細胞がおさえきれずにがん細胞が増え続けてしまうのです。

免疫療法により、免疫を上げることで増え続けるがん細胞に対抗することができます。免疫療法は、がんが転移する前からでも始められます。

 

 

大腸がんへの肝転移

肝臓へ転移するがんでもっとも多いのが、大腸がんです。

肝臓には胃・小腸・大腸といった消化器官に繋がる太い血管が通っています。それを門脈といいます。

この血管からがん細胞が通ることで、がんが転移していきます。

 

 

肝臓がんの病期

ほかの臓器から転移することの多い肝臓がんですが、肝臓がんも、ほかの臓器へ転移することがあります。肝臓がんがほかの臓器へ転移する病期についてみていきます。

 

肝臓がんのステージは、がんの個数・大きさ・広がりにより次のようにわかれています。

①  がんが1個である

②  がんの直径が2㎝以下

③  がんが肝臓内の血管や胆管に入り込んでいない

 

ステージⅠ ①②③のすべて該当する

ステージⅡ ①②③の内2項該当する

ステージⅢ ①②③の内1項該当する またはリンパ節に転移している

ステージⅣ それも該当しない またはほかの臓器や組織、リンパ節にまで転移している

 

リンパ節に転移すると、がん細胞が全身に広がってしまいます。

そのため、がん細胞がリンパ節、ほか臓器や組織に転移することでステージが上がります。

 

 

肝臓がんの治療

肝臓がんがほかの臓器へ転移しないために、がん細胞を取り除く治療を行います。治療は次のような方法があります。

・肝切除

・放射線治療

・化学療法

 

肝臓に負担のかかる、上記のような治療をすることが難しいこともあります。

そのような時には、生活の質を維持した治療が行われます。

 

 

 

まとめ

肝臓は、体の循環を担う役割があります。そのため、がん細胞が含まれた血液が肝臓に辿り着きやすく、さまざまながんが肝臓に転移する恐れがあります。

特に多いのが、大腸がんです。がんを発症したら、肝臓に転移がないか調べることが大切です。肝臓は一部を切除しても再生機能があり、元に戻る力のある臓器です。

肝臓がんが大きく広がる前に切除することが必要です。

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