末期癌の痛み その治療について

 

末期がん患者のおよそ70%に出現すると言われる症状が、「痛み」です。

人は、痛みを感じることで、体を正常に保とうとする機能があります。

例えば、熱せられた鍋に、手が触れると反射的に手を離すのは、それ以上やけどしないようにする、正常な反射運動です。

 

しかし、痛みの原因は、単なる炎症だけにとどまらず、神経や筋肉の痛みなどもあります。
それぞれの痛みの原因を見極めて、鎮痛剤を組み合わせて治療しています。

 

こちらのページでは、辛い痛みの原因とその治療について、ご紹介していきます。

 

 

目次

癌の痛みの種類

痛みの種類について説明します。

  体性痛 鋭い痛みを伴う場合が多い。靭帯や腱、筋肉などの内側にある部位が痛む場合もある。
  神経痛 末梢神経が圧迫や炎症などの刺激によって起こる痛みです。
  内臓痛 消化管や消化器に炎症や閉塞があるために痛みが出る。
体性痛と違い、鈍い痛みが特長です。

 

癌の痛みの原因

癌が体内に出来る事によって、なぜ痛みは出るのでしょうか。

その原因別にみていきましょう

 

癌治療が原因のもの

・手術後の傷が痛み、または手術によって神経が損傷したために起こるもの
・薬物治療による、末梢神経障害
・放射線治療の副作用

 

以上のように、癌の三大治療法といわれる手術療法・薬物療法・放射線療法のいずれも、治療後に痛みを伴う副作用が出る場合があります。

手術した部位によって異なりますが、身体の中には神経が張り巡らされており、外科手術によって切断された部分に痛みが出る事があります。

 

癌の進行により出現する痛み

癌が進行し、原発部位以外の周辺臓器に浸潤していき、血管やリンパ管をつたい他臓器に転移が始まると、痛みを伴う事があります。

 

骨転移による痛みは、骨膜に点在する感覚受容器への刺激によるもので、炎症を伴いながら浸潤して行く癌細胞が、持続的に刺激を与え、痛みを強めて行きます。
骨転移は、歩行などの、ごく日常的な運動でも痛みが起こるので、QOL(Quality Of Life)の低下に結びついてしまうのです。

 

癌の増殖とは無関係な痛み

・長い闘病生活により、出来てしまった褥瘡の痛み
・抗がん剤や、放射線治療による口内炎
・便秘による腹部痛

 

末期がんになると、長期療養や、全身衰弱が原因の痛みも出てきます。
免疫力の低下により、ヘルペスなどにもかかりやすく、
様々な種類の痛みと直面する事が解ります。

 

 

末期がんの痛みの治療

痛みは身体へのSOSのサインなので、体内に異常が起きた部位、そしてそれに関連する部位に痛みが出現し、異変を知らせてくれるという役割があります。

しかし、癌の痛みは既に確認出来ている病気による痛みの為、「無くて良い痛み」になります。患者様は一切我慢しなくて良い痛みなのです。

痛みに耐えて過ごすのは、体力の消耗に繋がり、病気を悪化させます。

痛みどめの種類や使い方は日々進化していますので、どんな痛みも我慢せずに医師に相談しましょう。

末期がんの痛みについて、次の表の様な目標が立てられています。

 

  第一目標  睡眠を邪魔しない
  第二目標  昼間の安静を邪魔しない
  第三目標  日常生活を邪魔しない

 
睡眠は、私たち健康な人間でも体調を整え、体力を保つ為に重要なもので、
癌と戦う患者様にとっては、より一層大切なものになります。
痛みの為に夜も眠れない、という状態では、疲労が蓄積する一方で、
充分な治療効果も得られません。

 

闘病中の患者様においては、夜間だけでなく、
昼間の安静を保つ事で回復を早める効果が期待できます。

そして、日常生活で必要な動作を妨げる事の無い程に、
痛みをコントロール出来たのであれば、
社会復帰も望めるのです。

 

末期がんの痛みの治療法について紹介します。

 

鎮痛薬

癌の痛みにも、一般的な鎮痛薬を用います。
飲み薬・座薬・注射・貼り薬 などの種類があり、
飲み薬が使えない時には座薬や注射、局所的な痛みには貼り薬など、
痛みの状況や場所などに合わせて選択できます。

 

医療用麻薬

一昔前は、使用方法が確立されておらず、中毒症状や脳細胞にダメージを与える様な事がありましたが、現在では,適正な量を処方する事で、強い痛みからの解放を実現しています。

医療用麻薬は、がんの痛みにとても有効で、使う量に上限がありません。
痛みの強さに合わせて、調節できるのが特徴です。

また、痛みがある状態で使用すると、中毒にならない事が解っています。
こちらも、飲み薬を始め、注射や貼り薬、座薬など、症状に合わせて形態を選べます。

 

 

神経ブロック

痛みが出ている神経を麻痺させる注射を行い、痛みを取り除く方法です。
専門の医師により施術されます。
癌の疝痛治療に行われる神経ブロックには以下のような種類があります。

神経ブロック名 適応範囲
 腹腔神経叢、内臓神経ブロック  胃、小腸、脾臓、膵臓、腎臓、胆嚢、肝臓、などの上腹部内臓痛
 下腸間膜動脈神経叢ブロック 直腸、S字結腸、下行結腸、横行結腸左半分、由来の内臓痛
 上下腹神経叢ブロック 前立腺、精囊、膀胱後半部、膣円蓋、子宮頸部などの骨盤内臓器の内臓痛
 硬膜外鎮痛法

全身投与で鎮痛効果が得られない場合

高用量のオピオイドによる副作用のコントロールができない時
具体的には、分断遮断が可能なため、後頭部から下肢、会陰部に至る広範囲な領域で、限局した痛み

 くも膜下鎮痛法 直腸癌、膀胱癌などの骨盤腔内腫瘍の局所再発による仙骨神経叢への癌浸潤に伴う会陰部や大腿後面の神経障害疼痛パンコースト腫瘍の頚神経叢、腕神経叢への浸潤による神経障害疼痛
オピオイド、鎮痛補助薬などの副作用管理が困難な場合。
主に、第一胸椎神経より低いレベルに痛みがある場合。
 高周波熱凝固による神経根       ブロック、末梢神経ブロック 三叉神経領域の癌疼痛や、限局した片側性の胸、上腹部背部の体性痛

放射線治療

癌は発育すると、血管内に浸潤し、血流に乗って全身を巡った末に骨に到着します。

そこにたどり着いた腫瘍が骨転移です。

骨転移があるということは、全身に癌細胞が巡っていると言うことを示します。

本来ならば、全身治療である抗がん剤による治療が主体ですが、症状の緩和の為に、放射線治療を行うことがあります。

適応となるのは、原発である癌や他の転移が抑制されていて、骨への転移が一箇所だけの方や、治療済みの病巣が再増悪した場合です。

 

 

鍼灸マッサージ

痛みを和らげるために、鍼灸やマッサージなども効果的です。
筋肉のこわばりを取り除き、緩める事で、痛みが緩和します。

 

また、特定の経穴には、鍼を用いて刺激することで、鎮痛効果を生み出す脳内モルヒネ様物質が分泌されるという効果があります。

脳内モルヒネ様物質とは、体内で生成されるモルヒネと同様の効果を持つ物質のことであり、鍼鎮痛効果は刺激を行った後でも持続することが可能です。

「鍼麻酔」と呼ばれるこの方法で、鎮痛剤の量を増やすことを抑え、モルヒネのような意識低下や便秘といった副作用もなく、安全に治療を進めることができるのです。

 

 

 

免疫療法の選択

末期がんになると、癌の三大治療法と言われる、
手術療法・薬物療法・放射線療法などが、
適応にならない場合も多く、また治療中でも補助的に使われ、
効果が上がる治療法として、現在、免疫療法が注目されています。

 

 

各治療法と免疫療法

手術後には免疫力の低下が有り 、感染症のリスクが高まる時でもあります。
免疫療法を同時に行う事で、回復時期を早めることが出来るのです。

また、薬物治療の際には、正常な免疫細胞も殺してしまう事になるので、
免疫療法を同時進行することで 、副作用の軽減につながり治療の効果が上がることが期待できます。
放射線治療も同様に、免疫力を保つ事で効果的に治療を勧める事が出来るのです。

 

 

末期がんと免疫療法

現在、認可されている免疫療法は少なく、そのほとんどが自由診療になっています。

しかし、免疫療法は副作用が少なく、そして腎臓病や肝臓病など、抗がん剤の適応にならない、既往歴のある方でも使える治療法の一つです。

 

手の施しようのない患者様の最終手段なのでは?と思う方も居るかもしれませんが、現在では、再発予防や、未病予防にも利用されている治療法になっています。

 

 

免疫療法の特徴として、全ての癌に対し併用・使用することが可能です。

同じ全身療法である、抗がん剤による薬物治療は、
発生部位によって、違う薬剤を選択しなければなりませんが、
免疫療法は、自分の免疫力を上げる、
もしくは、免疫細胞を注入するという方法なので、
癌の種類に関係なく、用いることが出来るのです。

 

そして、癌細胞だけでなく、身体の全ての細胞に作用するため、
健康な細胞はより生き生きと、免疫細胞は活性化され癌細胞を破壊します。
全ての細胞を元気にさせる効果により、抗がん剤治療中の患者様の中に頭髪が抜けにくくなったと感じる方も居る程です。

また、抗がん剤治療や放射線治療を行っている中で、食欲が無いと感じていたのに、
免疫療法を併用した結果、食欲が出てきて、体力がついた方も居ます。

 

まだ、医学的に解明されていない部分もある免疫療法ですが、癌という病気も医学的に解明されて居ないのが現状です。
原因が明確になり、癌の発生を抑えられる薬が発明されたら、まるでワクチンを打つような感覚で、癌の予防が出来る日が来るのかもしれません。

がんの治療は日々進化していて、多くの治療法が未だ研究中です。
治療では無く、予防が出来る日がもうそこまで来ているのかもしれません。

 

国立がん研究センター がん情報サービス
https://g-01-09.htmlanjoho.jp/hikkei/chapter3-1/03

独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター
http://www.onh.go.jp/seisaku/cancer/kakusyu/toutu.html

がん・感染センター都立駒込病院
http://www.cick.jp/houshasenchiryou/bony_metastases/

広済鍼灸院
http://www.kosaihealthcare.com/index.html

お腹の健康.com
http://www.onaka-kenko.com/
緩和ケア.net
http://www.kanwacare.net/kanwacare/point04.php

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