直腸がんが進行し過ぎると人工肛門のリスクあり!

直腸がんは比較的治療成績の良いがんの種類と言われています。しかし進行が進み結腸の手術の範囲が広がればストーマという人工肛門を患者様の体に造設しなければならないことがまれにあります。そのようなリスクがあることを知っていただき、早期発見し未然に回避するための知識などを紹介します。

 

目次

直腸がんの概要と人工肛門

直腸とはどのような機能を持っているのか?

大腸は食物が消化吸収された残りの腸内容物をため、水分を吸収して大便にする器官です。大腸菌や乳酸菌などの100種類以上の腸内細菌が存在しており、食物繊維の分解や感染予防の働きなどをしています。直腸は便の貯留と排出に非常に重要な役割を担っています。

 

大腸は主に盲腸、結腸、直腸の3つに分けられます。

盲腸は特に大きな働きはしていませんが、結腸は水分やナトリウムを吸収したり、便を作ります。また、小腸で消化しきれなかった炭水化物やたんぱく質を分解、吸収し便を直腸に流します。

直腸は便を一時的に滞留させる働きをします。直腸に便がたまると便意を感じます。それに応じた腸、腹部などの一部の筋肉と肛門の筋肉の動きによって便が排出されます。

直腸は大腸の最下部にあり、長さは15センチ~20センチで、下部が肛門になっています。

 

大腸がんと直腸がんとは

大腸がんにかかる割合は40歳代から増加し始め、50歳代で加速され、高齢になるほど高くなります。かかる割合は男性と女性では6対4と男性の方がやや多く、死亡率も男性の方が高いと言われています。

大腸がんができやすいのは直腸とS状結腸で、約7割を占めています。直腸は大腸全体の約1割とシェアは少ないものの、大腸がん全体の罹患率のうち半分が直腸がんと言われています。

直腸がんは便の中に出血(鮮血)が混じっていたりすることでよく発見されます。また便が細くなる、残便感も主な症状で、これは直腸内が狭くなっていることが原因です。痔からの出血と捉えられることも多いため、肛門からの出血が見られた場合は自己判断をせずに診察を受けることが重要です。

血便の他に、便秘、下痢、腹痛、食欲の変化、貧血などの症状が見られる場合も直腸がんが疑われます。

 

直腸がんのリスク因子

直腸がんのリスク因子を持つ方には、親族に直腸がんを発症したことのある人、40歳以上である、結腸直腸がんを過去に経験したことがある、直腸もしくは結腸のポリープを発症したことがある、子宮内膜、卵巣、乳がんを発症したことがある人が挙げられます。

遺伝子異常をもっていると50歳になる前に発症し、右側の腸にがんが発病するリンチ症候群や、大腸に複数の線種ができる家族性大腸線種症にかかりやすくなります。

また、食生活が原因となる場合は、大腸がんのリスクを高める食物として動物性脂肪、高たんぱくに偏った食事、繊維摂取の不足などがあります。特に直腸がんではビールがハイリスクであるという報告もあります。

 

直腸がんの症状

転移すると治療が大変になってきます。早期発見できるように何か下記のような異変を感じたら検診を受けてみましょう。

 

①  便に粘液や血が混じる:痔でも出血はありますが、痔の出血は便の周りに付着します。便を出した直後も血液がぽたぽたと落ち、血の色も鮮血です。排便時に痛みもあるのが痔の特徴です。

一方大腸がんの場合、便に血が混ざっていても排便時に痛みがなかったり、便と血液が混ざって黒っぽく見えたりという特徴があります。黒っぽい血であれば痔と自己判断せず検査を受けましょう。

下痢や便秘が続く:今まで1日1回便が出ていたのに、下痢をしやすくなった、便秘になりやすくなった、などの変化がある状態です。

②  お腹にしこりがある:がんがある程度大きくなると、お腹に触って分かるくらいのしこりを感じます。

③  残便感がある、便意があるが出ない:これらの症状は直腸がんの一つの特徴で、すっきり出ないために便が残っているような感じがします。

 

治療法の種類と合併症

がんを患ったときに、基本的には手術の他に放射線療法や化学療法が主として適用されることがあります。例えば前立腺がんの場合は化学療法が最も効果的など、がんの種類によって最善の方法は様々です。手術、放射線療法、化学療法は3大療法と呼ばれており、どれか1つを適用するか、組み合わせる場合があります。

直腸がんの場合は手術がほとんど適用されています。進行すると出血や腸閉塞を起こしたり腸の機能に障害が出るためです。直腸がんにおいて、放射線療法や化学療法は再発防止などの補佐的な役割を果たします。

まずここでは手術の種類について説明し、その後補佐的な役割である残りの2つについてご紹介します。

 

【手術】

手術はまず早期発見であるかそうでないかによって2つに分かれます。

早期でない場合は最悪の場合直腸の切除、人工肛門の取り付けが必要となります。

※参考:http://www.daichougan.info/treatment/operation.html

高齢化が急速に進む中で重篤な持病があったり、体力・免疫力の著しい低下による術後の心臓、肺、肝、腎機能への悪影響にも注意する必要性が高まっています。命に影響を与える危険性もあるからです。術後の注意点としては腸に刺激となるアルコールやコーヒーは控えることです。また、炭酸飲料はガスを発生させ腹部膨張感にもつながるため、注意が必要です。
食事は一度に多く食べてしまうと下痢や腸閉塞の原因にもなります。腹部膨満感や便秘といった症状が見られたときには、まず食生活に配慮する必要があるでしょう。

【放射線療法/化学療法】

放射線療法は術前や術後に行う場合と術後の出血などの症状を和らげるために行う場合があります。放射線療法は嘔吐などの副作用がありますが、生活に重度の支障をきたすほどの目立った副作用がありません。化学療法は術後の再発防止のために主に用いられますが、抗がん剤の種類によっては非常に苦痛を伴う副作用があるのが特徴です。

 

人工肛門

上記に人工肛門のケースは大多数ではないとお伝えしていますが、もし人工肛門を付けることになった場合患者様には生活するにあたってどのような不具合があるのでしょうか。

 

医療現場や患者様の間で人工肛門は「ストーマ」と呼ばれています。ストーマを付けている人を「オストメイト」と呼びます。

 

直腸には便を滞留させ、便意を我慢させたり、便を出したりする働きがあります。しかしストーマを付けると直腸のこの機能が失われ、便を出す働きのみが残ります。腸内で消化吸収されるなど関係なく便が排泄されます。このためストーマからの排泄物を受ける袋状の装具をお腹に貼り付けなければなりません。

ストーマで大きな問題とされているのが患者様の高齢化です。政府は医療費の抑制のためにストーマを持つ高齢患者様に在宅で療法するよう推奨し、方針も掲げられました。入院期間も短縮が進む中、退院後どのように手入れをするかなどの方法を完全に覚えることができない現状が問題となっています。また、認知症の患者様の場合はもっと深刻です。

 

 

人工肛門を付けることになった場合 ― 政府からの交付があります

永久的に人工肛門を付けることになった患者様は、身体障害者福祉法に基づいて身体障害者手帳の交付を受ける資格があります。

障害年金、ストーマ装具の給付、医療費の控除などの福祉サービスが受けられるようになっており、自治体にもよりますが月8千円程度の補助があります。
その他では携帯電話の使用料の補助などもあります。

 

予防と免疫療法

直腸がん、大腸がんの予防

直腸がん、大腸がんの発生と食生活には密接な関係があると医学的に証明されているものもあります。欧米の食習慣が広まったことによる動物性の脂肪の摂取が原因とされているように、動物性の高脂肪、高たんぱくな食事、飲酒などが高リスクになるという報告があります。

逆に大腸がんの発症リスクを低下させると言われているものは、穀物、豆類の繊維食、チーズ、牛乳、魚類があり、良質の蛋白質をバランス良く摂取することが予防の第一歩です。

また、海藻、こんにゃくは水溶性の繊維で保水性があるため、大腸の粘膜を保護する働きもあります。また、発がん物質の働きを抑えるビタミンC、ビタミンEは積極的にとりたい栄養素です。大腸がんを予防するには特に便秘が癖にならないよう、老廃物である便を腸内に長く停滞させないように気をつけましょう。規則正しい排便習慣や適度な運動によって腸内の働きを健康にしておくことが予防につながる生活習慣でしょう。

 

 

免疫療法

直腸がんでは3大療法のうちほぼ手術が適用されると説明しましたが、術後の回復を早めたり再発防止に免疫療法も効果的であると言われています。放射線療法や化学療法も再発防止に使われますが、免疫療法を補助的に使用するという方法もあります。なぜなら免疫療法は人間の体に本来備わっている病気を防ぐ力を最大限に引き出していく治療法で、放射線療法や化学療法と比べ副作用がほとんどないためです。

特に化学療法は副作用が一番大きく、副作用の辛さだけでなくDNAも破壊してしまうこともあり、時にはがんの治療において悪循環を引き起こしてしまうことになってしまいます。

3大療法と肩を並べるほど浸透はしていませんが、一部の免疫療法は保険適用も進んでおり、注目されている治療法です。

 

 

さいごに

家族の中に大腸がんの人がいる、大腸の疾患にかかったことがある、40歳以上である、腹痛や血便などの症状がみられるという場合には、早期かつ定期的に検査を受け、早期発見に心がけることが推奨されます。

大腸ポリープや潰瘍性大腸炎を患ったことのある方々は特に注意が必要です。これは全ての方に言えることですが、自分の排泄を毎回チェックすることが非常に大事です。便の通過障害に伴う症状はさまざまですが、代表的なものは、繰り返す下痢と便秘、そして便が細くなる「便柱狭小」と呼ばれる症状です。
快便の例としてバナナ状という表現がされますが、ある程度の太さと固さを保った便が定期的に出ることは、腸が健康なことを証明しています。

すでに直腸がんにかかってしまった患者様の中には、便をチェックせずに流してしまうのが習慣となり気づくのが遅くなってしまったという方も多くいます。便の状態を毎日確認して、便に血が混ざる、便通の異常や腹痛など少しでも自覚症状がある場合には検査をお勧めします。

 

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