大腸や胃のポリープががん化する可能性について

 

ポリープは一般的に知られた用語ですが、そもそもポリープとはどのようなものでしょうか。

ポリープは体内の様々な部位にできますが、ここでは各ポリープについて、またがん化しやすいといわれる胃ポリープと大腸ポリープを中心に説明します。

 

 

ポリープについて

ポリープとは

ポリープとは、臓器の粘膜の上に異常に増殖してできた腫れ物のことです。

米粒ほどの大きさものから、イボ状やキノコのような形のものまであります。

 

基本的に良性の隆起性病変で、小さいポリープはあまり問題がありませんが、大きくなってねじれや炎症が起きると痛みや出血を伴います。

 

ポリープの発症する場所や種類について 

  • 1) 発生しやすい場所

ポリープは胃や大腸など、管状や袋状の臓器にできやすいといわれています。

 

声帯にできる呼吸器系の「声帯ポリープ」、消化器系の臓器にできる「大腸ポリープ」「胃ポリープ」、女性特有の「子宮頸管ポリープ」「子宮内膜ポリープ」などがあります。

 

  • 2) ポリープの種類

遺伝子変異によってできるものを「過形成性ポリープ」、遺伝子の変化ではなく炎症が原因でできるものを「炎症性ポリープ」といいます。

 

 

ポリープががん化する可能性について

ポリープの中でもがん化する可能性が高いとされる大腸ポリープ、胃ポリープについて詳しく説明します。

 

  • 大腸ポリープ

  • 1) 大腸ポリープの種類

大腸ポリープは大きく腫瘍性と非腫瘍性に分類され、腫瘍性のうち悪性のものがいわゆる「がん」です。

良性のものは腺腫(せんしゅ)と呼ばれ、大腸ポリープの約8割を占めるといわれていますが、何らかの原因によりがん化することがあります。

 

非腫瘍性のものは炎症が起きる病気から発生する炎症性ポリープや、高齢になるとなりやすい過形成性ポリープなどがあります。しかしいずれもがん化することはほとんどありません。

 

腫瘍性

  • がん:悪性のもの
  • 腺腫:良性のもの。大腸ポリープのほとんどを占めるががん化する可能性あり

 

非腫瘍性

  • 炎症性ポリープ:炎症を伴う腸の病気から起こるもの
  • 過形成性ポリープ:老化現象によって起こるもの

 

  • 2) 腺腫ががんになる可能性は?

腫瘍性のほとんどは良性の腺腫ですが、何らかの刺激を受けて一部ががん化することがあります。そのはっきりとした原因は未だ解明されていません。

 

腺腫ががんになるかどうかのポイントは大きさです。

腺腫の直径が5mm を超えると一部がん化したものが発生します。さらに10mmを超えると、急激にがんを含む可能性が高くなってきます。

 

腺腫はある一定期間、同じ大きさを維持した後、ある時期から成長し始め、また一定期間その大きさを維持する、というように段階的に増大していきます。

 

腺腫の大きさが段階的に大きくなる理由はわかっていませんが、遺伝子変異と関係しているのではないかと考えられています。

がんは複数の遺伝子の異常が積み重なって発症します。一つの遺伝子が傷つき腺腫が増大するスピードが速くなり、また次の遺伝子が傷つくとさらに増大が起るというように、遺伝子が変異を起こしながら正常の組織から腺腫、さらにがんへと進展していくと予想されています。

しかし、腺腫が小さい段階で将来的に大きくなるかどうかを判断することは困難です。

 

胃ポリープ

  • 1) 胃ポリープの種類

胃ポリープとは、胃粘膜上皮に発生する基本的に良性で隆起性病変のことです。

広い意味で、腺腫、粘膜下腫瘍、がんなど胃の中に隆起した病変の総称をいうこともあります。

 

主に胃底腺ポリープ、過形成性ポリープ、それ以外で特殊型(炎症性、症候性、家族性)のように分類されます。

「善玉コレステロール」、「悪玉コレステロール」と同じように、胃底腺ポリープは「善玉」、過形成性ポリープは「悪玉」のように考えられます。

 

 

 

胃底腺ポリープ

大きさ:2~3mmの米粒大

数:数個から多数個

色:胃の周囲粘膜と同じ(薄桃色)

がん化:発生例もありますがその頻度はきわめて低いです。

その他:

ヘリコバクター・ピロリは陰性で、基本的に切除など処置の必要はなく、自然消滅することもあります。中年の女性に多いです。

 

過形成性ポリープ

大きさ:大小さまざま

数:1個から数個

がん化:稀にあり

その他:ヘリコバクター・ピロリは高確率で陽性で、萎縮性胃炎など様々な病状を併発することもあります。

 

腺腫性ポリープ(胃腺腫)

大きさ:通常2cm以下。2cm以上になると問題あり

色:褐色または灰白色

がん化:ある。

生検組織診断基準(Group分類)では、胃の上皮性良性腫瘍として扱われ、真ん中のGroup3の「腺腫」で良性と悪性の境界性。Groupは1 ~5まであり、Group1は正常組織、Group5はがん。

 

その他:

前がん病変と考えられ、2cm以上になると約半数はがんを合併する可能性があります。

そのため腺腫性ポリープと診断された場合、1年に1回は定期的観察を行う必要があります。胃のがん化とともに、離れた部位でがんが合併する可能性も考えられます。

2cm以上になりがんの合併が疑われる場合は、切除することが多いですが、大きさにかかわらず予後は良好です。高齢の男性に多いポリープです。

 

 

ポリープの診断方法

大腸ポリープの診断

1) 便潜血検査

便潜血検査(2日法)は便に血液が混ざっているかをみる検査で、大腸からの出血があると陽性になります。簡便で低コストなこともあり、一般の健康診断で普及しています。

大腸がんに対する感度(がんがある場合、陽性になる確率)は80%程度ですが、ポリープに対する感度は10%~50%と研究によりばらつきがあるといわれます。

そのため痔などでも陽性になり、陰性の場合でも内視鏡検査でポリープや早期がんが発見されることも多くあります。

便潜血検査で陽性になった場合、腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受ける必要があります。

 

 

 

  • 2) 大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

大腸の中を直接観察できるため、かつて行われていたバリウム検査では発見が難しい小さなポリープだけでなく、平らながんも発見することができます。また、検査中にポリープや初期の大腸がんを取り除くことができます。

 

内視鏡検査の方法

検査前に大腸内を空っぽにする必要があるため、約2リットルの下剤を飲まなければなりません。

次にベッドに横になり鎮痛剤を注射した後、肛門から内視鏡を挿入します。

かつては「大腸内視鏡検査は痛い・苦しい」といわれていましたが、検査機器や専門医の検査技術が大きく進歩したことにより、苦痛がなく行えるようになってきました。

検査は人によりますが20分程度で終了します。

 

胃ポリープの診断

  • 1) バリウム検査

一般的な健康診断の胃がん検診で行われるバリウム検査で、胃ポリープや慢性胃炎などの病状を発見することができます。X線でバリウムが溜まる箇所は白く、溜まらない箇所は黒く映るのでそのコントラストを利用し胃の粘膜の凹凸に乱れがないかを判断します。

 

  • 2) 胃内視鏡検査(胃カメラ)

バリウム検査で異常が発見された場合、内視鏡による精密検査を行う必要があります。バリウム検査が苦痛で最初から内視鏡検査を受ける人もいます。

口から挿入する「経口内視鏡」、鼻から入れる「経鼻内視鏡」により胃だけでなく食道や十二指腸の内部を観察するため、ポリープや潰瘍、ピロリ菌感染症などの病気を発見できます。

 

ポリープがみつかったら

 内視鏡検査でポリープがみつかった場合、まず放置してよい非腫瘍性か、治療が必要な腺腫などのポリープかを確認します。

 

青い色素を病変に散布し内視鏡で観察する「色素内視鏡検査」という方法や、特殊な光を当てることでポリープ表面の構造を見やすくし、病変を拡大することである程度の鑑別が可能です。

 

治療が必要と判断された場合、病変を切除し組織を顕微鏡で確認する「病理組織検査」を行います。最終的に良性の腺腫か、またはがんを含む病変(腺腫内がん)かどうかを診断します。

 

 

 

ポリープの切除について

大腸、胃ともに内視鏡検査内でほとんどのポリープを切除することができます。内視鏡検査でみつかったらすぐに取ることができ、開腹手術に比べ体への負担がとても少ないです。             

 

  • 内視鏡手術

  • 1) 内視鏡手術が適応する場合

大腸ポリープ:

・一般的に6mm以上の良性のポリープ

・リンパ節への転移の可能性がほとんどなく内視鏡を使って一括で切除できるがん

・5mm以下の良性腫瘍でも、平坦あるいはへこんだ形のもの、がんとの区別が難しいもの

・白色の5mm以下の多発するポリープ(過形成性ポリープ)は経過観察で問題なし

 

胃ポリープ:

・腺腫性ポリープ:2cm以上に増大し、またはがんの発症が疑われる場合

・過形成性ポリープ:ヘリコバクター・ピロリが陽性ならば、まずピロリを除菌することにより、消失することがある。除菌後1年経過しても消失せず大きさが2cm以上ある場合や、ピロリ陰性で大きさが2cm以上ある場合などは内視鏡的切除が検討されます

 

  • 2) 内視鏡による切除方法

「ポリペクトミー」「内視鏡的粘膜切除術(EMR)」、「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」などの方法があります。また近年、10mm程度のポリープに対し、熱を使わないコールドポリペクトミーという手術が行われ始めています。

ポリープの大きさや、がん化の可能性により外科手術が選択される場合もあります

 

外科的開腹手術

内視鏡で取れないほどの大きなポリープの場合や、大腸ポリープで大腸のヒダなど屈曲した部位で内視鏡では切除できない場合など、開腹手術が選択されます。

 

また、内視鏡で切除した病変を顕微鏡で調べ、がんが粘膜下層まで深く入り込んでいることがわかった場合は、リンパ節への転移が約10%生じるといわれています。

さまざまな条件を考慮し、リンパ節を取り除く追加の外科手術を行うこともあります。

 

   

 

免疫力を上げてがん化しない体作り

ポリープは多くのケースが内視鏡検査による手術で切除することができ、がん化しない非腫瘍性のものです。そのため過剰に心配することは避けるべきですが、がん化することを極力避けるための体つくりは大事です。

規則正しい生活、バランスがよい食事、適度な運動により体内の免疫をアップさせることは、健康を維持することで必要なことはよく知られています。

 

免疫療法は、がんに罹患してからの治療としてだけではなく、がんを予防する体内環境作りとしても大変有用です。ポリープの将来的ながん化を防ぐ選択肢のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。

 

 

まとめ

ポリープはさまざまな箇所に頻繁にできる人もいますが、いずれの病変も早期発見・治療ができれば治癒することができる可能性が高いと考えられています。

ポリープと診断され治療が完了した場合でも、医療機関では定期的な内視鏡検査を受けることを推奨しています。

 

出展:

Japan Polyp Study

http://www.jps21.jp/polyp/about-polyp.html

日本消化器病学会ガイドライン

http://www.jsge.or.jp/guideline/disease/cp_2.html

http://www.onaka-kenko.com/various-illnesses/stomach/stomach_02.html

https://www.ntt-east.co.jp/smc/caller/seminar/seminar_181.pdf

一般社団法人日本消化器内視鏡学会

http://www.jges.net/faq/faq_answer04.html

医療ライター。

がんの免疫療法完全ガイド

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