卵巣がんの特徴とその治療法

卵巣がんの死亡者数は、年々増加傾向にあります。
子宮がんや乳がんと違い、通常の検診項目には含まれていない事と、自覚症状が出にくい臓器という特徴から、受診が遅れてしまう事が原因のひとつと考えられます。
そのため、気が付いた時には転移や浸潤を起こし、手術出来ない状態まで悪化している事もあるのです。
これは、卵巣がんが「サイレントキラー」と呼ばれる所以になっています。

 

目次

卵巣がんの特徴

卵巣がんはその構造上、多くの種類のがん細胞が発生する臓器です。

卵巣は生殖細胞の周りを多くの卵胞が取り囲み、そしてその周辺にホルモンを作る細胞があります。そして卵巣の一番外側は、表層上皮で覆われています。
このような構造上、様々な細胞が存在し、それぞれにがんが発生しますので、
細胞の種類だけ、がんの種類があるという事になります。

進行の早い移行上皮癌や、若年層に発生する類内膜腺がん・粘液性腺がん
薬物治療が難しい明細胞腺がんなど、その種類によって病態が違います。

卵巣がんの進行度は、以下の分類になります。

卵巣がん手術進行期分類(FIGO 1988)

Ⅰ期 卵巣内原局発育
Ⅱ期 腫瘍が一側または両側の卵巣に存在し,さらに骨盤内への進展を認めるもの。
Ⅲ期 腫瘍が一側または両側の卵巣に存在し,さらに骨盤外の腹膜播種ならびに/あるいは後腹膜または,鼠径部のリンパ節転移を認めるもの。また腫瘍は小骨盤に限局しているが小腸や大網に組織学的転移を認めるものや,肝表面への転移の認められるものもⅢ期とする。
Ⅳ期

腫瘍が一側または両側の卵巣に存在し,遠隔転移を伴うもの。胸水の存在によりⅣ期とする場合には,胸水中に悪性胞を認めなければならない。肝実質への転移もⅣ期とする。

[注]
肝実質転移は組織学的(細胞学的)に確認されることが望ましいが,画像診断で転移と診断されたものもⅣ期とする。

日本産科婦人科学会・日本病理学会編.卵巣腫瘍取扱い規約第1 部(第2版).金原出版,東京,2009(規約)

上記の表の様に、卵巣がんのステージ分類は、手術を行い、その後の組織・細胞診の検査を行った後に決定されるもので、
手術前には確定出来ないものです。
手術後に確定したステージによって、術後に化学療法(抗がん剤療法)を実施するかどうかの指標になります。


国立ガン情報センター がん情報サービスhttps://ganjoho.jp/public/cancer/ovary/treatment.html

 

 

卵巣がんの治療法

手術療法

ステージⅠおよび、Ⅱについては、手術による腫瘍の摘出が行われます。
同時に大網切除術と後腹膜リンパ節郭清が行われます。
ステージⅢおよびⅣについては、浸潤や転移がみられる卵巣だけでなく、同時に周辺組織の摘出も行われます。
卵巣がんは、転移した腫瘍をしっかりと取り除くことで、生存率が上がります。

① 基本的な手術法
子宮と、両側の卵巣と卵管、大網を摘出します。

② 腫瘍減量術
完全に切除出来ない場合でも、できるだけ多くのがんを摘出することを目指します。取り残した腫瘍の大きさが予後に関わる為、転移が大腸、小腸にある場合は腸管部切除、横隔膜にある場合は横隔膜の切除も行います。また、脾臓にある場合は、脾臓の摘出も行われます。

③ 腹水細胞診や腹膜生検
腹水細胞診は病気を決定する為に必要な処置です。腹膜上に小さなかたまりが認められた場合には、腹膜生検を行い、腹膜播種の有無を確認します。

④ 後腹膜リンパ節郭清もしくは生検
病気を決定する為に、後腹膜リンパ節郭清もしくは生検を行い、リンパ節転移の有無を調べます。

⑤ 妊孕(にんよう)性温存手術
卵巣がんの基本的な手術法を行うと、妊娠する事が不可能になりますが、
特定の条件下においては、妊孕性温存が検討されます。

1.ごく初期の癌であること
2.妊娠を強く希望する場合で、妊娠可能年齢であること
3.再発の可能性を理解していること
4.治療後の経過観察を行うこと

などの条件を満たした場合に行われます。

薬物療法

卵巣がんでは手術後に抗がん剤による薬物治療を行ないます。

ステージⅠおよびⅡでは再発防止として、ステージⅢおよびⅣでは手術で取り除けなかったがん細胞を減らす為に行います。
抗がん剤の効果で、腫瘍が小さくなった場合は、再度手術で取り除くことも出来ます。

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卵巣がんの5年生存率

Ⅰ期 85.5%
Ⅱ期 64.5%
Ⅲ期 42.7%
Ⅳ期 27.3% 

公益財団法人がん研究振興財団
「がんの統計‘16」より作成
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/brochure/backnumber/2016_jp.html

卵巣がんは、他のがん同様、進行により生存率が下がります。
早期発見できるとそれだけ効果が上がる、がんとも言えます。

卵巣がんの早期発見

卵巣がんは、サイレントキラーと呼ばれ、気が付いた時には手遅れという事も、
少なくないがんです。
早期発見が難しいがんですが、検診を行う事で早期発見に繋がリます。

女性のがんの検診は、自治体で補助金が出て、乳がんや子宮ガンの検診を行っていますが、
実はそれでは不十分で、卵巣がんの検診は行われて無い事が多いので、
検診項目にオプションが選べる場合は、必ず選んでおくと良いでしょう。

卵巣がんの検診は、膣からの超音波検査になります。
特に痛みも無く、安全な検査になっています。
膣から検査する事で、腹部からの超音波検査よりもより細かく腫瘍の有無が解るので、年一回は行うと良いでしょう。

卵巣がんを早期発見できる血液検査の項目は「CA125」「CA130」などがありますが、いずれも卵巣がんに特異的とは言えず、より確実な検査としては、前出の超音波検査になります。

卵巣がんになる前に

卵巣がんに限らず、加齢と共にがん発病のリスクはあるものです。
では、がんの予防は出来ないのでしょうか?

がんの予防の指針として、国立がん研究センターがん予防・検診センターがまとめた「がんを防ぐための新12か条」があります。

①  たばこは吸わない
②  他人のたばこの煙をできるだけ避ける
③  お酒はほどほどに
④  バランスのとれた食生活を
⑤  塩辛い食品は控えめに
⑥  野菜や果物は不足にならないように
⑦  適度に運動
⑧  適切な体重維持
⑨  ウイルスや細菌の感染予防と治療
⑩  定期的ながん検診を
⑪  身体の異常に気がついたら、すぐに受診を
⑫  正しいがん情報でがんを知ること

こちらは、一般的な生活習慣病の予防にも重なる部分かと思います。
普段の生活で気を付けることが可能な項目が多いのが解ります。
しかし、これだけでがんの発病を防ぐことが出来るのでしょうか。
残念ながら完璧とは言えないのが実情です。

更に積極的にがんを予防する方法として、免疫療法があります。
既に出来てしまったがんの治療にも勿論利用されている方法ですが、
がんになる前から利用できる事をご存知でしょうか?

免疫療法を行う事で、「ウイルスや細菌の感染予防と治療」ができます。

この免疫療法は、副作用が少なく、既往歴のある方にも使用できるのが特徴で、
手術でがんを摘出したけれど、内臓疾患が原因で再発予防に行う、抗がん剤治療が難しい方にも、取り入れることのできる療法です。

がんの早期発見と合わせて、がんの予防法として今後更に注目が集まると、言えるでしょう。

 

まとめ

卵巣がんは、その構造から様々な組織型のがんが発生する臓器です。
組織型の違いにより、進行度や浸潤度が違います。

特徴として、自覚症状が少なく、一般的な検診項目では見つけにくいがんの為、
早期発見の為には、卵巣がんの検診をお勧めします。
積極的な予防を行っていく事で、発生が抑えられるがんであると言えるでしょう。

 

国立がん研究センターがん情報サービス 
https://ganjoho.jp/public/cancer/ovary/

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