肝内胆管がん(胆管細胞がん)とは?症状や治療法まとめ

肝内胆管がんは、肝細胞がんと同様に初期症状があまりなく発見が難しいがんです。手術が一番の治療法ですが、胆管のある位置とその機能上、外科手術が可能であっても手術規模がかなり大きく、困難な手術となります。

治療後、社会復帰し自分らしい生活を送るには、最善の治療法を選択することが必要です。

 

 

 

「肝内胆管がん」は「胆管細胞がん」ともよばれ、肝臓の内部を通っている胆管(肝内胆管)にできたがんのことです。肝臓の外部の胆管(肝外胆管)に発生したがんである「胆管がん」とは区別されます。ここでは胆管という組織について、肝内胆管がんについて説明します。

 

  • 胆管とは

胆管は、肝臓から分泌された胆汁(消化液)を十二指腸まで運ぶ管のことです。

十二指腸まで運ばれた胆汁は、膵臓からきた膵液の働きを活性化させ、そのことにより脂肪やたんぱく質を分解し小腸から吸収しやすくします。

 

肝臓内部を通る胆管が「肝内胆管」で、肝臓の外側から十二指腸乳頭部の手前までが「肝外胆管」です。胆管は肝臓内で左右に木の枝のように広がっており、肝臓の外で合流し1本の胆管となります。

 

また、胆汁を一時的に貯めておく袋状の臓器である「胆のう」と胆管、十二指腸乳頭部を「胆道」といいます。

 

肝内胆管がんについて

肝臓がんは大きく「原発性肝がん」と「転移性肝がん」に分けられます。

肝臓内でがんが発生する原発性肝がんに分類されるのが、肝臓にできる「肝細胞がん」と肝臓内の胆管にできる「肝内胆管がん」です。

原発性肝がんのうち、肝細胞がんの比率は約90%、肝内胆管がんは数%です。

 

なお「胆管がん」と限定的に呼ぶ場合、「肝外胆管がん」を指します。

 

 

  • 肝内胆管がんの症状は

 

肝臓がんは全般的に早期発見が難しく、肝内胆管がんも症状が出た時には既にステージが進行しているケースが多いです。

進行すると現れてくる症状は以下のようなものがあります。

 

  • 黄疸

黄疸とは血中のビリルビンという色素が増加し、皮膚や粘膜が黄色に染まる状態をいいます。

具体的には次のような症状が身体に現れます。これらの症状は胆管内にがんができることで、胆管が狭くなり圧力がかかることで拡張し、胆汁の流れが阻害され、血液中のビリルビン濃度が高くなることが原因です。

 

  1. 眼球の白い部分が黄色くなる
  2. 皮膚が黄色っぽく見える
  3. 尿の色も濃くなる

 

  • 白い色の便

黄疸により胆汁が腸内に流れなくなることにより、便の色が白っぽいクリーム色になります。特に黄色人種である日本人の場合、黄疸の程度が軽いと皮膚の色で気付くことが難しいため、白い便により身体の異変に気付くこともあります。

 

  • 身体のかゆみ

黄疸症状は身体のかゆみを伴うことが多く、これは胆汁の中の胆汁酸がビリルビンと一緒に血管内へ流れるためです。

 

  • 吐血

肝内胆管がんが末期に近くなると、とつぜん吐血することがあります。これは食道静脈瘤の破裂が原因です。

肝臓の状態が悪くなると、肝臓に流れ込む血液がせき止められる状態になり、食道の静脈で止まってしまいます。動脈が瘤(こぶ)のようになり、大きくなりすぎると破れてしまうのです。

 

  • その他

その他、がんに共通した症状として、腹痛・全身倦怠感・発熱・体重減少などが出ることがあります。

 

 

  • 肝内胆管がんの検査・診断

 

肝内胆管がんは症状が出にくいため、腹部の違和感や原因不明の発熱が続くなどの症状が気になり、かかりつけの病院を受診することから始まるでしょう。基本的な診察や血液検査をした後に中核病院で詳しい検査を行ないます。

 

  • 血液検査

血液検査の腫瘍マーカーで肝内胆管がんであるかどうかの判断はできません。しかし胆道が閉塞すると血液中のビリルビンが増加し、胆道系酵素のALPやγ-GTPの数値が上昇するので、診断の参考になります。

 

  • 腹部超音波(エコー)検査

腹部にゼリー状のものを塗り、超音波が出る探触子(プローブ)を当て、肝臓内部や周辺組織、胆管の拡張や閉塞などをモニターで確認します。外来で比較的簡単に検査ができ、血液検査と併せてある程度の診断をつけることができます。

 

  • CT検査

CT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)はX線を利用して体の断面図を画像化する検査です。腫瘍が存在する部位や広がり、胆管の拡張程度も調べることができます。

また動脈注射で造影剤を体内に注入する造影CT検査により、血管や病巣が分かりやすくなり、より正確な診断が可能になります。

 

  • MRI検査

MRIとはMagnetic Resonance Imaging(磁気共鳴画像)の略語で、強力な磁石でできた筒の装置中に入り、磁気の力を利用して体の臓器や血管を撮影する検査です。

CT検査と同様に胆管の拡張や病変の存在する部位、広がりを診断できますが、CTと得られる情報は異なります。痛みもなく、X線を使わないので放射線被曝の心配がありません。

 

肝臓がんの検査には、MRI装置で胆のう・胆管・膵管の画像を同時に描出することができるMRCP(Magnetic Resonance Cholangio Pancreatography:磁気共鳴胆管膵管撮影)検査を行なうこともあります。

 

  • ・ 直接胆道造影

胆管に内視鏡を挿入して、その先に付いた細いチューブから造影剤を注入し、胆道や膵管を直接造影する安全性の高い検査です。

胆道系や膵臓の診断に用いられることが多く、1回の検査で隣接した他の臓器の病変も確認できるという特徴があります。

 

  • 内視鏡的逆行性胆管造影(ERC)

のどに局所麻酔をし、軽い鎮静剤を注射した後、内視鏡を口から十二指腸まで挿入します。

胆管の出口である十二指腸乳頭から細いチューブを入れ、造影剤を注入してX線撮影を行います。 胆管の形や病巣の広がりを調べ観察することができます。

胆汁を直接採取し、細胞診などの精密検査を行うこともできます。

検査中は多少の苦痛を伴い、副作用として発熱熱や胆管炎・胆のう炎、膵炎などの合併症のリスクがあります。

 

  • 経皮経肝胆道造影(PTC)

腹部の皮膚から肝臓を経由して胆管に直接針を刺し、造影剤を注入し胆道の異常の有無をX線撮影する検査方法です。胆管の狭窄・閉塞の詳しい様子の確認、腫瘍の部位や広がりの診断に有用な方法です。

 

  • 胆道鏡

粘膜に広がるタイプ(浸潤性)のがんは、CTだけでは病巣の広がりを調べることが難しいことがあります。この場合、胆管の中に細いファイバースコープを直接通し、胆管内を観察する検査方法を用います。

 

  • 経口胆道鏡(POCS)

内視鏡を口から十二指腸まで挿入し、先端から造影カテーテルという細いチューブを胆管に挿入して、X線像を撮る内視鏡的逆行性胆管造影(ERC)の経路を使用する方法です。

ERCは優れた画像が得られ、小さな病変も発見でき粘膜変から組織検査も可能です。

 

  • 経皮経肝胆道鏡(PTCS)

皮膚から肝臓を通して肝内胆管にチューブを挿入し、造影剤を注入してX線撮影を行います。経皮経肝胆道造影(PTC)の経路を用いて検査をする方法です。

 

  • 超音波内視鏡検査(EUS)・管腔内超音波検査(IDUS)

超音波内視鏡検査(EUS)とは、先端に超音波プローブ(超音波派生装置)が付いた内視鏡を用いて行う検査です。

体外式超音波検査と比べ、がんのすぐ近くから観察するため、より鮮明な画像を得ることができます。ただし内臓脂肪が多い場合や胃の手術をした患者さんの場合、観察が難しいこともあります。

 

管腔内超音波検査(IDUS)は、十二指腸乳頭部から胆管に超音波プローブを挿入し、胆管内部を観察します。IDUSの超音波プローブは細く、EUSでは入ることができない細い胆管内にも挿入することが可能です。

 

  • PET検査

放射性ブドウ糖液と呼ばれる検査薬を体に投与し、その検査薬の取り込みの分布を撮影することにより全身のがん細胞を検出する検査です。他の検査では確定できない、リンパ節転移や遠隔転移、再発の診断に用いられます。最近ではCTを併用したPET-CT検査が普及しています。

 

 

  • 胆管がんの治療法

  • 外科手術

  • 1) 手術が最も治癒が期待できる治療法

肝内胆管がんの治療法は、外科手術による切除が最も有効な方法です。

肝細胞がんと比較すると肝障害が少ないことが多いため、切除できる範囲が広いですが、腫瘍の大きさや場所によりそれらを考慮した手術が必要です。

 

がんが肝臓の端の胆管に発生している場合は、部分切除を行います。

肝臓の左葉(肝臓の左側およそ1/3)と右葉(肝臓の右側およそ2/3)を越えてがんが広がっている場合や、肝門(肝臓の出入口)に近い場合には広範囲に切除する必要があります。

肝内胆管がんは転移しやすいため、胆のうや、「リンパ節郭清」といって周囲のリンパ節も切除することもあります。

 

  • 2) 切除部分が広範囲な場合は「術前門脈塞栓術」

肝臓を大きく切除する場合、残った肝臓が小さいと肝不全を起こす危険性があります。

そのため、この危険性を少しでも減らすために「術前門脈塞栓術」を行ないます。

これは、手術前に切除側の肝内門脈枝を塞栓することで切除側の肝臓を萎縮させ、残す側の肝臓を肥大させておく処置を行います。

 

3)手術は難解なためリスクが高く合併症も起きやすい

肝内胆管がんの手術は手術規模がかなり大きく、肝臓や膵臓などにも影響する組織であるため、消化器外科など他の部門との連携が必要です。

手術のリスクは他のがんよりも高く、手術後の合併症として、肝臓を大量に切除したことによる肝不全や胆汁漏、感染症、出血、胆管炎などが考えられます。

また手術で腫瘍をきれいに切除したとしても、再発する可能性はあります。

 

  • 化学療法(抗がん剤治療)

1) 化学療法について

 

がんがみつかった時点で胆管内の腫瘍が大きい場合や、肝臓内、リンパ節、骨や肺など他の部位への転移がみられる場合、手術の適応となりません。

手術ができない肝内胆管がんの標準的な治療法は、抗がん剤による全身化学療法です。

一般的に、外来で週1回3時間程かけて点滴し、2週連続投与し、3週目は休むといったサイクルの治療を繰り返します。

 

  • 2) 副作用について

化学療法によるよくみられる副作用として、吐き気や倦怠感、食欲不振があります。

抗がん剤で骨髄がダメージを受け、白血球や赤血球を生産できなくなる骨髄抑制が起きることもあります。

また長期間の投与により、腎機能障害や難聴、指先がしびれる末梢神経障害などが出てくることがあります。

 

  • 3) 化学療法だけでは根治が難しい

肝内胆管がんの場合、化学療法単独では根治することは難しいでしょう。

ただし、手術不適応とされた場合でも、抗がん剤治療により腫瘍を小さくしてから手術ができることもあります。

 

  • 放射線治療

  • 1) 放射線治療について

外科手術が不適応と診断され、遠隔転移がない場合に放射線治療が選択されることがあります。ただし肝臓が放射線に弱いため、あくまでがんの進行を抑制し、疼痛を緩和するための治療と考えられています。

 

放射線治療の内容は、体外から放射線をあてる外部照射、胆管内部に針金状の放射線源を入れ腫瘍に直接あてる内部照射があります。

最近では再発予防の目的で、手術後の補助療法として残った組織に照射する術中照射を行なうこともあります。

 

  • 2) 副作用について

肝臓は放射線に弱く、また肝臓内の胆管にできたがんに対する放射線治療の効果は小さいといわれています。

さらに放射線治療に伴う副作用として、全身倦怠感、食欲不振などがあり、ある程度時間が経過後に消化管の潰瘍形成・出血、胆管の炎症・狭窄、肝臓の機能低下があります。

 

 

  • QOLを重視した治療法とは

 

QOLとはQuality of Life「生活の質」のことで、患者さんの肉体的な苦痛を取り除くだけでなく、精神的、経済的、社会的活動を含めた総合的な活力や生きがいなどを含めた生活の質を意味します。医療、特にがん治療に関して、日常生活のQOLを重視した適切な治療法を選択する考え方が提唱されています。

 

  • 機能障害や苦痛の緩和

肝内胆管がんの術後に発生する可能性のある合併症として、胆汁漏や胆管炎があります。また、抗がん剤治療の副作用として、嘔吐や食欲不振が少なからずあります。

そのため、術後の機能障害や苦痛を和らげQOLを維持するために、適切な手術方法が慎重に検討されます。激しい副作用が予測される化学療法を行なう際には、抗がん剤の投与法を検討したり、副作用を抑える薬剤が使われます。

 

  • がん症状への対策

がんが進行するにつれ、さらに食欲が減退して嘔吐や貧血がひどくなり、疼痛も生じてきます。輸血、輸液、投薬や他の対症療法によって肉体的、精神的不安を取り除く治療を行ないます。痛みが強いときには、医療用麻薬を用いたり、放射線治療により疼痛を和らげることができます。

 

  • 免疫療法を併用することによる効果

現在、自分が本来もつ免疫力を上げることによる免疫療法に注目が集まっています。がん治療の一つに取り入れることにより、QOLを「維持」するだけでなく「高める」効果があると期待されています。

前述したとおり、がんが進むと疲れやすく、食欲不振や痛みで日常生活が困難になります。

免疫療法の一つであるがんワクチン療法を行なった人の中には、「食欲がでた」「痛みが軽くなった」「抗がん剤の副作用が軽くなった」という声もあります。

 

 

  • まとめ

肝内胆管がんは肝臓がんの中でも珍しいがんですが、発見が困難で手術や治療も難しいといわれています。

しかし、もし手術不適応と診断されても決して悲観してはいけません。化学療法後に手術可能になった例もありますし、末期がんであっても免疫療法によりQOLを維持しながら日常生活を送っている人もいます。

現在がんには様々な治療法があることを知り、自分の生活・人生にとって最善の選択をしましょう。

 

出展:

がん研有明病院

http://www.jfcr.or.jp/hospital/cancer/type/gall_i/002.html

http://www.jfcr.or.jp/hospital/cancer/type/gall_i/001.html

http://www.jfcr.or.jp/hospital/cancer/type/gall_i/003.html

国立がん研究センター がん情報サービス

http://ganjoho.jp/public/cancer/bile_duct/index.html

http://ganjoho.jp/public/dia_tre/attention/skincare/jaundice.html

千葉市立海浜病院

https://www.city.chiba.jp/byoin/kaihin/shinryou_geka_jutumaemonmyaku_01.html

横浜市立大学医学部 消化器・腫瘍外科学

http://www.ycusurg2.jp/jisseki/biliarytractcancer.html

 

医療ライター。

がんの免疫療法完全ガイド

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