乳がんの治療にはどんな方法があるの?

最近は病気の方の闘病生活の様子をブログやSNSなどのネット上で見ることができる為、身近に病気の人がいなくても癌の闘病がどれほど辛いかを知り、何となく想像できるようになりました。

 

そのため検診の必要性を改めて感じている人もいるのではないでしょうか?

 

乳がんは再発、転移もしやすいがんであるにも関わらず検診の受診率が低いことが問題となっています。

 

乳がんについての正しい知識をここでは身につけていただきたいと思います。

 

乳がんについて

乳がんの多くは乳管から発生する乳管がんと、小葉から発生する乳がんである小葉がんがあります。

 

乳管がん、小葉がんは、乳がん組織を顕微鏡で検査して区別できます。

 

乳がんは、しこりとして見つかる前に、乳房の周りのリンパ節や、遠くの臓器に転移して見つかることがあります。

 

乳がんの発生要因

発生要因としては下記のような要因があります。

 

・エストロゲン濃度が高い:女性ホルモンのエストロゲンが深く関わっていることが知られています。

・体外からの女性ホルモン追加の経験:経口避妊薬の使用や、閉経後の女性ホルモン補充療法などが挙げられます。

・初潮早いことや閉経が遅い:体内のエストロゲン濃度が維持されている期間が長いほど、ホルモン受容体陽性の乳がんの発症リスクが上がります。

妊娠や出産経験のある女性に比べて、ない女性は乳がんの発症リスクが高く、さらに初産年齢が遅いほどリスクが高くなります。

・生活習慣:飲酒習慣や喫煙

・その他:良性乳腺疾患の既往、糖尿病は、乳がんのリスクが高くなることがわかっています。

 

そして、睡眠時間もホルモンと密接な関係があると言われています。

 

睡眠時間が長いと、睡眠時に分泌されるメラトニンが性ホルモンの分泌を抑えるためです。

 

このメラトニンと関連し、生活リズム、特に睡眠のリズムが乱れやすい深夜勤務者や交代勤務者も、乳がんとなるリスクが高まるとされています。

 

症状

乳がんが見つかるきっかけとしては、マンモグラフィなどによる乳がん検診を受けて疑いを指摘される場合や、あるいは自分で症状に気付く場合などが多いようです。

 

1.乳房のしこり:乳がんが進行すると腫瘍が大きくなり、しこりが分かるようになります。この「しこり」については良性腫瘍との違いを後ほど詳しく説明しますが、しこりがあるからと言って乳がんとは限りません。

 

2.乳房のエクボなど皮膚の変化: 乳がんが乳房の皮膚の近くに達すると、エクボのようなひきつれ、乳頭や乳輪部分に湿疹やただれが見られ、時にはオレンジの皮のように皮膚が腫れて赤くなったりします。血の混じった分泌液が乳頭から出ることもあります。

 

3.乳房周辺のリンパ節の腫れ: わきの下のリンパ節や胸の前方中央を縦に構成する胸骨のそばのリンパ節や鎖骨上のリンパ節に転移しやすい傾向があります。

 

わきの下のリンパ節が大きくなると、しこりができたり、リンパ液の流れがせき止められてしまうため、腕がむくんできたり、腕に向かう神経を圧迫して腕がしびれたりすることがあります。

 

しこりが良性腫瘍である場合の特徴

細胞の性質から見ると、悪性腫瘍は分化度が低く、良性腫瘍は分化度の高い特徴を持ちます。

分化度とは何のことでしょうか。

 

人間の体を構成する細胞は細胞分裂を繰り返すうちに様々な機能や形態を持つ細胞に変化します。これを細胞の分化、この進み具合を分化度と言います。成熟レベルで未分化、低分化、高分化などと表現されます。

 

分化度の低い未分化、低分化細胞ほど活発に増殖する傾向にあり、それが悪性腫瘍です。

 

ここでは分化度の高い「良性腫瘍」の身近な例として、婦人科系の疾患である子宮筋腫や乳腺症、ポリープについて取り上げていきます。

 

■子宮筋腫:子宮筋腫は良性腫瘍です。増殖スピード、形状、浸潤の判断基準からみて問題はない腫瘍です。細胞が大きくなった腫瘍であり、術後の再発の危険性も低いです。

 

■乳腺にできる腫瘍(乳がんのしこりと間違われやすいもの):良性のしこりとしては、乳腺症による正常な乳腺がしこりように固く触るものや、のう胞(液体のたまり)、線維腺腫、葉状腫瘍などが挙げられます。

 

・ 乳腺症:乳腺の一部がかたくなる病気で,乳がんなどの真性の腫瘍でも乳腺炎でもないものの総称です。片側の乳房に複数発生したり、両側の乳房に同時に発生したりします。痛みを伴うこともあり、乳首から血性または漿液性の分泌物がみられることもあります。

 

・ 線維腺腫:乳腺線維腺腫のしこりの特徴は、硬くて丸く、1~2cmくらいの小さなボールのようです。周囲の組織と一緒になっていないためよく動きます。乳房にできるしこりの8割以上が乳腺線維腺種です。

 

・ 葉状腫瘍:しこりの大きさが乳腺線維腺種よりも大きいのが特徴の病気です。

 

もし気になる症状があれば検診を受けて自己判断しないようにしましょう。

 

※写真は乳がん検診に使われるマンモグラフィー(医療機器)

 

生存率

表3 乳がん(女性)の病期別生存率

病期

症例数(件)

5年相対生存率(%)

I

7,029

99.9

II

6,923

95.4

III

1,710

80.3

IV

699

33.0

全症例

16,466

93.0

全国がん(成人病)センター協議会の生存率共同調査 KapWeb(2016年2月集計)による

 

 

治療法

手術

手術には主に下記の種類があります。

 

1.乳房部分切除術:腫瘍から1~2cm離れたところで乳房を部分的に切除します。

 

乳房部分切除術はがんを確実に切除し、患者さんが美容的に満足できる乳房を残すことを目的に行います。

 

乳房部分切除術を受けられる条件については明確なものはなく、がんの大きさや位置、乳房の大きさ、本人の希望などにもよるので、手術を担当する医師とよく相談することが重要です。

 

しこりが大きい場合は、術前化学療法によって腫瘍を縮小させてから手術を行います。

 通常、手術後に放射線照射を行い、残された乳房の中での再発を防ぎます。

 

2.乳房切除術:乳がんが広範囲に広がっている場合や複数のしこりが離れた場所に存在する多発性の場合は、最初から乳房を全部切除する乳房切除術を行います。

 

ホルモン療法

乳がんには、体内の女性ホルモンの影響でがん細胞の増殖が活発になる性質のものがあります。

 

ホルモン療法は、ホルモン剤により体内のエストロゲン(女性ホルモン)の働きを妨げたり、エストロゲンがつくられないようにして、がん細胞の増殖を抑える治療方法です。

 

 治療の目的や使う薬の種類によって治療期間や効果の目安は変わりますが、手術後に行う場合は5年間から10年間の投与が目安となります。

 

 副作用については、化学療法に比べて軽いといわれていますが、顔面のほてり、のぼせ、発汗、動悸などの更年期障害のような症状が出る場合もあります。

 

これらの症状の多くは治療を開始して数カ月から数年後には治まります。

 

化学療法

がん細胞は、正常細胞と違い、際限なく増殖し続けるという性質があります。化学療法は抗がん剤(殺細胞性抗がん剤)により、細胞増殖を制御しているDNAに作用したり、がん細胞の分裂を阻害したりすることで、がん細胞の増殖を抑えます。

 

1.術前化学療法:手術を行うことが困難な場合や、しこりが大きいために乳房部分切除術ができない場合には、3カ月から半年ほどの化学療法を行い、腫瘍を縮小させてから手術を行う方法があります。

 

2.術後化学療法:早期の乳がんでは、多くの場合、転移・再発を防ぐ目的で、手術後に化学療法を行います。手術後に化学療法を行う目的は、どこかに潜んでいる微小転移を死滅させることです。

 

手術後の化学療法によって、再発率、死亡率が低下することが報告されています。

 

作用が異なる複数の抗がん剤を使用することによって、がん細胞をより効果的に攻撃できることが明らかになったことから、術後化学療法においては複数の抗がん剤を組み合わせて使用します。

 

 

 

免疫療法

健康な方は、身体にとって有害・不要なものなどを排除しようとする仕組みである免疫系が働いて健康を維持しています。しかし何らかの理由でこの免疫系が弱まるとがん細胞は発生し、増殖していきます。

 

また手術などでがんを排除しても免疫系が弱ったままではがんの再発や転移を繰り返します。免疫療法は、この弱まった免疫系の力を回復もしくは再生させることで身体が本来持っているがんと闘う力を取り戻していきます。

 

手術、化学療法、放射線治療に比べて目立った副作用がほとんどない治療法であるのも利点です。

 

抗がん剤の辛い副作用に鎮痛剤を使用する方や治療自体を中断する方も多いかもしれません。

 

また鎮痛剤を使用することで免疫力の低下を心配する声もあります。しかし免疫療法を行っている場合、免疫力を保ちながら化学療法ができるためこういった副作用を軽減したり医師の指示通り抗がん剤を投与することができます。

 

また免疫療法はがんの早期段階から開始することでより効果を発揮することも分かってきました。

 

それだけでなく、再発や転移の場合にも生活の質の改善という観点からは良い結果が出ています。

 

 

さいごに

乳がんの啓蒙活動が盛んで、女性の多くが乳がんをごく身近なものと考えているアメリカでは、40歳以上の女性の7割以上が乳がん検診を受診し、乳がんによる死亡はすでに減少傾向に転じています。

 

それに対して日本では検診や自己触診を実践している女性は、身近な人ががんになった、職場でたまたま検診があったなど、少数にとどまり、検診の受診率も30%程度に過ぎません。

 

どんなにすばらしい診断法や治療法があっても、女性が自分の乳房に関心をもって検診や医療機関を受診しなければ、検査は始まりません。

 

是非意識を持って検診を受けていきましょう。

 

医療ライター。
医薬系会社にて医療事務に従事する傍らで、美容系サイトにて痩身美容(脂肪吸引など)ついて執筆するフリーライター。
主に得意分野は、がんや免疫療法、経営者インタビュー記事作成など。

がんの免疫療法完全ガイド

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