癌 ステージ4

ステージ4とはどのような状態で、どのような対処ができるのでしょう。治療法がかなり限られてくるステージのため、精神面での充実や希望を見出す考え方も重要になると言われています。

癌のステージ・生存率・宣告されて心はどのように影響されるか

癌の状態を表すステージについて

医者から癌と診断されると「癌は○期です。」、「ステージ○です。」、と言われます。

 

これは癌の進行具合を示しており、最も早期が0、その次から1→2→3→4と続きます。最も進行しているのはステージ4です。

 

ステージは、さまざまな検査結果を総合的に判断して判定され、判断基準となるのは

 

①癌の大きさ

②周辺のリンパ節への転移の有無

③他の臓器への転移の有無

 

である、この3つを基準として治療方針が定められていきます。

下記の表はそれぞれのステージの状態で、それぞれの治療法については後ほど説明します。

 

  ステージ0 ステージ1 ステージ2 ステージ3 ステージ4
状態 癌細胞が上皮内に留まっており、リンパ節に転移していない。 ステージ0に比べ腫瘍が少し広がっているがリンパ節へ転移はしていない。

①筋肉の層をこえて浸潤(癌細胞が広がっていくこと)しているが転移はない。

②腫瘍は広がっていないが、リンパ節に少し転移がある。

筋肉の層を超えて深く浸潤し、リンパ節への転移もある。 最初に癌が発生した臓器を超えて、周囲または離れた臓器に転移している。

※上記は一般的なステージの定義ですが、癌の種類によってそれぞれのステージの細かい定義は異なります。
参照:http://www.gan-info.com/20.html

 

ステージ4とはどういう状態か/生存率

上記の表にあるように、ステージ4は一般的には「他の臓器への転移がある」状態です。どれくらい深刻なステージであるということかは、生存率を例に見てみましょう。

 

国立癌研究センターのデータでは、ステージ1の10年生存率が86%であるのに対して、ステージ4では12%となることが分かっています。癌は早期発見されれば治癒が可能な病気ですが、進行するとこのように急激に生存率が落ちてしまいます。

 

ステージ4と宣告されて心に起こること

癌と宣告されただけでも絶望的になり「死ぬのではないか」という発想が心に起こります。

 

ステージ1であっても頭が真っ白になりうつ状態になる患者もいます。さらにそれが「ステージ4」であると伝えられると計り知れない程の心の痛みを伴うでしょう。

 

癌が進行しないように治療と向き合ってきた患者にとっても、今まで元気だったのに検診を受けると「ステージ4だった」という患者にとって人生に見放されたような気持ちになることも避けられません。

 

癌患者にとって精神的なケアは、QOL(生活の質の向上)という観点からもとても重要な位置づけにあります。

 

ステージ4と宣告されてから治療まで

ステージ4と宣告されたらまず何をすべきか

主治医から今後の治療や対応について説明があると思いますが、まず自分がどの状態にあり、どのような治療が必要かを把握しましょう。

 

① 自分の癌の診断名は何という名前か/疑われているか確定しているか
② 癌のできている位置
③ ステージ
④ 転移の可能性/広がりの範囲
⑤ 主治医の勧める最も効果的な治療法とその理由
⑥ 治療法の選択肢におけるそれぞれのメリット・デメリット(副作用や費用など)
その治療を選んだときの期待できる効果(生存期間や生活の質、苦痛の軽減など)
⑦ 今後どんな症状が起こる可能性があるか
⑧ 公的医療保険で保険が癌の治療は一部適用になるか
⑨ 高額療養費制度などの助成制度に当てはまるか
⑩ 勤務している会社で休職などの制度を検討してもらえるか

 

主治医の診断を元に情報収集をする

主治医に上記の項目を漏らさずに確認した後自分でも改めて調べましょう。

 

癌相談支援センターの窓口の情報は信憑性が高く、信頼のできる機関です。

 

癌相談支援センターは、全国各地の癌診療連携拠点病院などにあり、癌に関する情報の提供や相談に乗ってくれるところです。癌専門相談員としての研修を受けたスタッフが信頼できる情報に基づき、癌の治療や療養生活全般の質問や相談を受けています。

また、治療方針について別の医師の意見を聞きたければセカンドオピニオンも選択肢の一つです。もうすでにこの言葉は浸透していますが、セカンドオピニオンとは、患者が納得のいく治療法選択のために治療の進行状況、次の治療選択などについて、現在診療を受けている主治医とは別に、第2の意見をもらうことです。

 

しかし、ステージ4になると治療法の選択肢は限られていることと、治療の開始まで許される時間が限られてくることを念頭に置き、どうしてもセカンドオピニオンを受けたい場合は情報収集を早くしてスピードを持った対応が必要になるでしょう。

 

 

治療法

それぞれのステージにおいて治療法は下記のように異なってきます。

 

ステージ4では転移があるため手術を複数個所施すのは現実的に不可能であるのと、転移が起こっているということは体中に癌細胞が巡っている可能性が高いため抗癌剤を使った化学療法が中心とされています。ステージ4では原則として手術は行なわないのがほとんどですが、癌の種類や状態によって切除が可能となる場合もまれにあります。

 

  ステージ0 ステージ1 ステージ2 ステージ3 ステージ4
治療法

 ①手術:早ければ早いほどきれいに病巣を取ることが可能です。

②内視鏡的治療:体にメスを入れることなく内視鏡を使って病巣を切除する方法です。手術に比べ負担が軽減されます。

 高齢者で体力が十分ではない、手術によって体に負担がかからない場合手術が優先されます。

病巣がある程度浸透している状態になるため、手術で取り除けていない潜在的な癌細胞に対して化学療法を用いる場合もあります。

複数の部位に癌が存在しているので、一か所だけ切除しても、生存期間を延ばしことは不可能です。

化学療法の副作用

ステージ4では化学療法が基本となるとお伝えしましたが、人によって化学療法の副作用は非常に苦痛を伴うことがあるのは問題視されていることも事実です。

 

多く見受けられる自覚的に深刻な副作用は激しい吐き気と嘔吐です。これは経験した人でなければ分からないほど辛く、「こんなに辛いのであればもう治療は続けたくない」と言って治療を中止を希望する患者もいます。

 

 

化学療法以外の療法

免疫療法

癌と免疫のメカニズムは、健康な方を例に挙げると、癌細胞は体の免疫が排除します。

 

しかし免疫が弱っていると癌細胞を排除できなくなり、どんどん進行させていきます。ステージ4の場合化学療法が主流の治療法になってきますが、免疫力を低下させてしまうというリスクがあるため免疫療法と組み合わせる方法も注目されています。

 

免疫療法では自己の体に備わっている免疫を使って、免疫本来の力を回復させて癌を治療する方法です。化学療法単体だと免疫力を下げますが、副作用を伴わない免疫療法を併用することで免疫力を落とさずに、そして化学療法による副作用を軽減させながら治療をすることが可能になります。

 

免疫療法は癌になる前から予防としても使用することもできますが、末期の癌患者にとっては治療におけるストレスの軽減といったQOL(生活の質の向上)の観点から取り入れることも少なくありません。

 

精神面でのケア

緩和ケア

抗癌剤の効果が期待できないほど末期的な状態だったり、高齢などで体力が十分でなかったりする患者さんの場合は、無理に化学療法などを行なわず、緩和ケアを優先させることもあります。緩和ケアとはどのようなケアのことなのでしょう。WHOでは下記のように定義しています。

 

・患者のQOL(生活の質) の維持向上を目的とし、その人らしく最期まで生活することを支える。
・身体的苦痛だけでなく、精神的苦痛、社会的苦痛、スピリチュアルな苦痛(人生の意味、生きる意味、死生観に対する悩みなど)の緩和を目的とする
・患者の抱える困難にチームアプローチで対処する

 

癌と知らされたときの精神的な絶望感、サポートをしているときの精神的・身体的な辛さについても緩和ケア専門の心療士が存在します。

 

癌そのものから来る痛みに対して、鎮痛剤として、オピオイドという医療用麻薬が導入されました。薬の強さは患者の体力によって使い分けられますが、これにより癌から来る痛みを取り除くことが可能になりました。

 

このような身体的な痛みに対しても鎮痛剤を使用し、QOLを高めながら治療と付き合う方法もあります。

 

精神腫瘍科、癌サロン

癌を宣告された患者の心は相当な苦痛が起こるため、最近ではこのような癌患者の心のケアとして「精神腫瘍科」という部門が出てきました。

 

1970年代ごろから設立され始めてきた比較的新しい部門です。病名告知による幅広い精神的障害に対応しています。しかしまだ日本では数が少ないのが現状のため、もし近隣にあれば検討してみてはいかがでしょうか。

また、癌患者同士で話すことも心のストレスの軽減に役立つでしょう。癌患者が集う「癌サロン」という場が病院やNPO、WEB上で提供されています。そこでは癌体験者が、患者の悩みを聞く「ピアサポーター」という制度もありますので是非活用してみましょう。

 

笑うことの効用

笑うことによって癌が治ったという話を聞いたことがあるのではないでしょうか。これは笑うことによって免疫力が上がり、ナチュラルキラー細胞が活性化するためです。

アメリカの医師によって「笑い療法研究会」が発足したのですが、この研究によると笑いが免疫機能を活性化させるだけでなく、脳内モルヒネ(鎮痛作用のこと)を増加させたりすることを明らかにしました。

 

たった5分笑うことでナチュラルキラー細胞は活性化するということも別の研究で明らかになりました。笑いを取り入れて前向きに明るく過ごせば、癌に打ち勝つ可能性が出てくるということです。

 

癌の状態で心から笑うことは難しいかもしれません。笑うことができるようになるにはまず緩和ケアなどの精神的なストレスをなるべく取り除くことが第一歩になるでしょう。

 

食事療法と運動

癌患者は癌の痛みや薬の副作用により食べることが困難な場合が多いため、治療の前に既に体重が減り、栄養状態も悪くなっていることが多いようです。

食事も治療の一つであると意識して栄養をバランスよく取り入れて、積極的に体力をつけていきましょう。その他に癌になりにくくする方法、進行させない方法としては直射日光を避け、ストレスをためず、ビタミンなどの抗酸化作用のある栄養素を摂ることです。

ステージ4の患者に「運動をしましょう」と言うのは酷なことかもしれませんが、もし運動が医師から許可されているようであれば取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

運動も免疫力アップに有効だと言われていますし、米国癌学会のガイドラインでは、癌治療中に運動すると化学療法の効果が上昇することが分かっています。

 

精神的にも肉体的にも辛い治療を受けていると精神的にストレスが溜まり、体力が低下することもありますので、無理のない範囲で体を動かしましょう。

 

さいごに

ステージ4となった場合、最も大事な信念は諦めないことでしょう。ステージ4であっても克服した患者、うまく癌と共存して幸せに過ごしている患者もいることを知りましょう。

 

「自分は必ず助かる」という前向きな精神により免疫力を上げ、自然治癒力を高めていくことを意識してみてください。

医療ライター。

がんの免疫療法完全ガイド

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